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親目線でも子供目線でも楽しめる。種族を超えた、もっと言うと生命体と非生命体の垣根を超えた母子の絆に感動した『野生の島のロズ』

【個人的な満足度】

2025年日本公開映画で面白かった順位:6/17
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:The Wild Robot
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:東宝東和、ギャガ
 上映時間:102分
 ジャンル:アニメ、ヒューマンドラマ、アドベンチャー
元ネタなど:児童文学『The Wild Robot』シリーズ(2016-)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/roz-movie/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
無人島に漂着した最新型アシスト・ロボットのロズは、キツネのチャッカリとオポッサムのピンクシッポの協力のもと、雁のひな鳥キラリを育てるうち、心が芽生えはじめる。

ロズの優しさに触れ、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていく。いつしか島はロズにとっての“家”となっていくのだった。

渡り鳥として巣立っていくキラリを見送り、動物たちと共に厳しい冬を越えた頃、回収ロボットが彼女を探しにやってくる。

果たして、築いてきた動物たちとの絆から引き裂かれようとするロズの運命は!?島の存亡をかけたロズと動物たちの戦いが、いま始まろうとしていた──。

【感想】

原作小説は未読ですが、ロボットと動物の間に生まれる母子の絆に感動する映画でした。CGながらも優しい絵のタッチで描かれ、人間が一切介入しない物語は、王道の設定でありながらも新たな風を吹き込んでくれましたね。

<本来決して関わることのない2人が母子になる面白さ>

先に書いた母子というのは、ロボットのロズと小さな雁キラリのことです。ロズは人間のお手伝いロボットとして作られましたが、嵐で輸送中の船が沈み、唯一の生き残りとして舞台となる無人島に流れ着きます。あらかじめプログラムされた通り、お手伝いをすることが彼女(本来、ロボットに性別はないのですが、ロズの声や雰囲気から女性かなと)の目的ではあるものの、そこには人間がおらず、言葉も話せない動物ばかりなので、早速目的を失ってしまいます。

が、ロズは長い年月をかけて動物たちの言葉を学習し、再びお手伝いできることがないかとあれこれ探しまわっている中、ある事故がきっかけで雁の卵を見つけることに。その卵から生まれたのがキラリです。同じ雁の中でも一際小さく、実の親が不在のキラリ。そんな彼を育て、渡り鳥として泳ぎや飛行を教えるのがロズの新たなミッションとしてプログラムされることになるんです。

ひょんなことから出会ったキツネのチャッカリと共に、ロズは不慣れながらもキラリの育児に奮闘します。そして、ロボットに育てられたがゆえに、鳥なのにどこか不自然な言動のキラリは、同じ雁からも煙たがれ、また、自身の出生の秘密を知ったことでロズと仲違いしてしまうことも。多感な時期の子供の扱いに悩むロズと母親に反発してしまうキラリの姿を見て、ロボットと雁という本来関わることのない存在同士ながらも、この2人の関係は母子そのものだなと感じました。

<後半からガラリと変わるストーリー展開>

ロズとキラリの母子関係は決して楽しいことばかりではないのは映画を観ていてわかるのですが、それでもキラリが渡り鳥としてやっていけるようあらゆる手助けをするロズの母親っぷりと、なんとかひとり立ちしようとがんばるキラリの姿は牧歌的で微笑ましいものです。が、前半のそんな穏やかな雰囲気とは打って変わり、後半はドラマチックな展開となっていきます。無事にキラリを渡り鳥として育て終えたロズは、自ら工場へ戻るよう設定をしたのですが、迎えが来た土壇場でこの島に残ることを決意します。長らく無人島で生活していたロズのデータがほしい製造元のユニバーサル・ダイナミクス社は、ロズを回収しに来たロボットのヴォントラを使って無理矢理にでも送還させようとするんですけど、ここで動物たちとロボットたちの激しい戦いが繰り広げられることになります。これぞまさにインフィニティ・ウォーってぐらい動物たちが協力し合って戦う様子は見ものでした。さっきまでの平和な世界とは180度異なる有様に驚くものの、ロズとキラリの母子の絆があるからこそ、命がけで戦う彼女たちの想いが強く伝わってきます。そして、感情のないはずのロボットなのに、キラリと過ごした何物にも替え難い時間のおかげで、ロズは信じられない行動を起こします。母子の愛が生み出す奇跡に涙が止まりませんでした。

<そんなわけで>

種族を超えた母子の絆に感動する面白い映画です。使い古された設定でも対象を変えることでこうも面白くなるんですね。親の目線からも子供の目線からも楽しめるので、ぜひ親子で楽しんでいただきたいです。

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