満身創痍すぎる2人のラブストーリー『恋する寄生虫』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:224/240
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆
【要素】
ラブストーリー
寄生虫
潔癖症
視線恐怖症
【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
三秋縋『恋する寄生虫』(2016)
【あらすじ】
極度の潔癖症で人と関わることができずに生きてきた青年・高坂賢吾(林遣都)。ある日、見知らぬ男から視線恐怖症で不登校の高校生・佐薙ひじり(小松菜奈)と友達になって面倒をみてほしい、という奇妙な依頼を受ける。
露悪的な態度をとる佐薙に辟易していた高坂だったが、それが自分の弱さを隠すためだと気づき、共感を抱くようになる。世界の終わりを願っていたはずの孤独な2人はやがて惹かれ合い、恋に落ちていくが———。
【感想】
原作は読んでいませんが、設定が面白いラブストーリーでした。極度の潔癖症の男の子と、視線恐怖症の女の子。いずれもまともな社会生活は送りづらいですよね。その中で、どうやって2人は仲を深めていくのか、興味深い内容です。ちなみに、後半でネタバレしているので、まだ知りたくない方は、ここでページをそっ閉じしておくことをオススメします。
<常に精神をすり減らしている2人>
高坂もひじりも、2人は常に精神的に満身創痍状態なんですよ。高坂は自分以外のすべてが汚く見えて、我慢の限界を超えると吐いちゃう。ひじりも他人の視線が怖くて、まともに人とコミュニケーションが取れない。これが日々続くとなると、精神的にかなりまいりますよね。。。この2人のように社会生活が送りづらい状況というのは、社会から拒絶されているに等しいのかもしれません。だから、2人はこの世界の終わりを願っていた。「もう生きづらいし、みんな死ね!」みたいな(笑)この物語はフィクションですが、実際に生きづらさを感じている人たちも、同じことを思っているかもしれません。
<2人の関係性の見えづらさ>
設定としては普通のラブストーリーとだいぶ異なり、それが本作の魅力でもあると思うんですけど、個人的にはあまりハマらなかったのも事実なんですよね。。。
それは2人の関係性が、視覚的にわかりづらかったからです。2人が同様に社会から拒絶された存在で、それ故に惹かれ合うっていうのはわかります。日本人がひとりもいないような外国の地で、同じ日本人を見つけたら一気に親近感わきません?ああいう感覚はあると思うんですよ。でも、その繋がりに喜びを感じたり、幸せな日々を送ったりするシーンがあまりにもなく、お互いに本当に必要だったのかなっていう気がしました。もちろん、状況的にお互いに惹かれ合う理由はわかるんですけど、恋愛的な絡みが少なくて、ラブストーリー感ゼロでしたね。むしろ、普通の友情物語の方がまだわかりやすいかなって気さえしました。
<寄生虫のくだり>※ネタバレあり
で、タイトルにもある寄生虫ですが、この2人、なんと体内に寄生虫がいるって設定なんですよ。その寄生虫の影響で好きになっていると錯覚していると。ただ、その寄生虫のせいで、潔癖症だったり視線恐怖症だったりが発症しているので、取り除く必要があります。でも、もし寄生虫を取り除いたら、この恋心もなくなってしまうのでは、、、というのが本作の肝です。あくまでも創作なので細かいことは気にしても仕方ないんですけど、寄生虫ってどうやって別の人間の体内にも寄生虫がいるって判断するのかなーって思っちゃいました。フェロモンなんかが出ているんでしょうか。あと、仮に寄生虫を取り除いても記憶が消えるわけではないので、恋愛感情自体は残るのでは、、、と思ったり。寄生虫じゃなくて、寄生獣だったら、それを取り除くときに意識も持っていかれちゃうっていうイメージがわくので、もう少し納得感はあるんですけど(笑)
なので、原作はどうなのかわかりませんが、少なくとも映画を観た限りでは、設定や雰囲気に寄りすぎて、肝心の人間ドラマが物足りなかった印象ですかね、個人的には。終わり方もだいぶ謎でしたし(笑)
<その他>
本作の寄生虫は創作ですけど、実際に寄生虫の中には怖いものもいるので、生物としての興味はありますが、、、人間の脳が支配下に置かれてしまったら、かなり怖いですね。
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