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インド社会の闇!女性をキッチンに縛りつける厳格な家父長制に胸糞悪くなる『グレート・インディアン・キッチン』

【個人的な評価】

2022年日本公開映画で面白かった順位:4/11
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】

ヒューマンドラマ
家父長制

【原作・過去作、元になった出来事】

なし

【あらすじ】

妻が家事から解放されるのは、自身が「穢れ」となる日だけだった。

インド南西部ケーララ州で、高位カーストの男女がお見合いで結婚する。中東育ちでモダンな生活様式に馴染んだ妻は、夫の住む由緒ある邸宅に入り、姑に導かれて家事のあれこれを学んでいくが、ほどなく姑は嫁いだ娘の出産準備のため家を離れる。

彼女は一人で家事全般を受け持つことに。さらに、早朝からの家事労働で消耗していても、夜には夫の求める身勝手なセックスを拒むことができない。そうした重荷から逃れられるのは、皮肉にも生理の期間だけ。

しかしそれは、彼女が穢れた存在と見なされる数日間でもあった。

【感想】

これはかなりショッキングな内容でした。特に女性にとっては、かなり思うところがありそうです。妻の扱いがあまりにもひどすぎるので。。。

<圧倒的な男性優位>

高位カーストの方が、よりその傾向が強いのかわかりませんが、とにかく伝統や宗教を潔癖なまでに重んじる家庭、それが妻が嫁いだ先です。

家で男性はなんっにもしないんですよね。夫も義父も、スマホいじって、メシを食べるだけ。朝、歯を磨くときは歯ブラシを女性に出させ、外に出るときは「おい、靴!」と。

もちろん、掃除も料理も女性の仕事です。食べるときは男性が先で、食べカスは全部テーブルに散らかしっぱなし。それでいて、彼らの注文は多いんです。米は炊飯器ではなく、釜で炊け。チャパティはミキサーではなく、手でこねろ。服は洗濯機で洗うと傷むから、手洗いしろ。「うるせーな、そんなん言うんだったら自分でやれや!」と言いたくもなりますが、妻も義母もただただそれに従うしかありません。

なので、彼女たちは基本的にキッチンから離れられず、映画も8割キッチンが舞台です。妻も実家の母に相談するものの、「郷に入りては郷に従え」とまったく取り合ってくれないんですよ。

同じ男性の目線から見ても胸糞悪いですし、モラハラを通り越して、人権侵害じゃないかとさえ思うほどでした。これがインドだと割と多いらしいんですよね。。。かなり前時代的な気もしますけど、伝統や宗教を重んじる国の印象があるので、なかなか変わらないのかもしれません。

<指摘すると逆ギレする男性陣>

テーブルマナーや夜の生活について、少しでも何か言おうものなら、「お前何様だ」と怒られるか、「神よ、許したまえ」と呆れられる始末。さらに、女性の地位向上について述べた人の動画をSNSでシェアしたら、「削除しろ」と詰め寄られる。もはや女性は人ではなく、男性の所有物として見られているんじゃないでしょうか。日本で同じことをされたとtwitterにあげようものなら、炎上しかしなそうですけどね。

とはいえ、日本だって昭和までは男性の方が圧倒的に強かった家が多いでしょうし、今でもそういう風潮は残っているところもあると思います。どこの国も同じような状況はあるにせよ、現代にまでそれが強く強く残っているのは、なかなか生きづらさを感じてしまいますね。

<唯一キッチンから離れられるのは生理のときだけ>

日々、家事に追われる妻は、1日の多くをキッチンで過ごします。そこか離れることができるのは、生理中のときだけ。生理中の女性は穢れているとみなされ、自分の部屋に閉じ込められます。一歩も外に出られず、人に会えず、何かに触れることさえも許されません。確かにキッチンから離れられはするものの、部屋に閉じ込められちゃ自由なんてないですよね。そして、生理が終わったら、またキッチンに立つことになります。こうやって一生が終わる人もいるんだろうと考えると、とてもやるせない気持ちになります。どうして女性というだけでそこまでひどい扱いになってしまうのか。大昔、まだ人類が狩猟で生活をしていた頃、力の強かった男性が社会を掌握していた名残なんですかね。。。

<そんなわけで>

実は、本作を監督したのは女性かと思いきや、男性なんですよ。彼自身が結婚したとき、家事を妻と平等に分担する取り決めを行ない、彼女の妊娠中は彼が台所仕事をすべて引き受けた経験から、本作が生まれたそうで。特に女性の方が衝撃と共感を受けやすいかもしれませんが、インド社会における家族の在り方はとても興味深いのでオススメです。


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