山崎育三郎を観るためだけに映画館へ足を運んでもいいと思った『劇場版ラジエーションハウス』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:37/65
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
医療ドラマ
コメディ
【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
横幕智裕・モリタイシ『ラジエーションハウス』(2015-)
・テレビドラマ
『ラジエーションハウス ~放射線科の診断レポート~』(2019、2021)
【あらすじ】
72時間―。それは、人の生死を分ける時間。甘春総合病院の放射線技師・五十嵐唯織(窪田正孝)は落ち込んでいた。大好きな甘春杏(本田翼)が、放射線科医としての腕を磨くため、ワシントン医大へ留学することが決まったからだ。お別れまでのカウントダウンを胸に刻む唯織のことを、ラジエーションハウスのメンバーは元気づけようとするが、唯織への秘めた想いを抱える広瀬裕乃(広瀬アリス)だけは、自らの進むべき道について悩んでいた。
そんな中、杏の父親・正一が危篤との連絡が入る。無医島だった離島に渡り、小さな診療所で島民を診てきた正一だが、杏が父のもとに着いてほどなく、「病気ではなく、人を見る医者になりなさい」との言葉を残し息を引き取る。生前、父が気に掛けていた患者のことが気になり、島に1日残ることにする杏。
そこに大型台風、土砂崩れ、そして未知の感染症が襲いかかる。遠く離れた地で杏が孤軍奮闘していることを知った唯織は、大切な仲間を守るため、苦しむ島民を救うため、ある決心をする。
8人の技師たちが選んだ未来とは。「別れ」の時刻が近づいている―。
【感想】
テレビドラマ版は全部観ていたこともあって鑑賞してきました。正直、個人的にはドラマはそこまでハマっていなかったんですよ。医療ドラマにしてはあまり緊迫感がある感じではなかったので。ところが、映画はドラマ以上に次から次へとピンチが押し寄せてくる展開で面白かったです。
<ちょっと詰め込みすぎな構成>
全体的には楽しめる内容で、テレビドラマ版にそこまでハマらなかった僕でも映画はオススメできるんですけど、ちょっと情報量がちょっと多い印象でした。
まず、冒頭の自動車事故。飲酒運転の車が、妊婦を乗せた夫妻の車と正面衝突。病院へ運ばれる3人。飲酒運転した方が明らかに悪いのに、妻より優先して治療することに納得のいかない夫。ここで飲酒運転の引き起こす悲運と、どんな悪人でも治さなければならない医者の立場という2つの事象を目の当たりにします。
一方、父を看取るために島に向かった杏。そこで出会う、父がずっと気にかけていた患者。治療設備が十分でない中でひとり奮闘する杏と、遠くからその身を案じるラジエーションハウスのメンバーの温かさはドラマのよさそのまんま。そこに襲いかかる台風と、それが引き起こす島民をおびやかす絶体絶命のピンチ。
こんな感じで、ドラマだと3~4話分に相当するボリュームが2時間の中にギュッと詰まっています。濃いと言えば濃いんですが、ちょっと情報量が多いかなって。個人的には、どれかひとつのエピソードに絞りこんでくれてもよかったかなと思いました(笑)
<山崎育三郎の演技に注目>
この映画で僕が推したいのは、タイトルにも書いた通り、山崎育三郎さんですよ。生死を彷徨う妻とお腹にいる赤ちゃん。この2人の身を案じて溢れる想いを懸命に伝える彼の姿にメチャクチャ感動しました。舞台で培った演技力とでも言いましょうか。ややオーバーなところもあるんですが、これぐらいわかりやすい方が心に響きます。メインキャストを差し置いて、彼を観るためだけに映画館へ足を運んでもいいんじゃないかってぐらいでした。
<そんなわけで>
次から次へと訪れるピンチにスリルを味わいつつ、コメディ要素も散りばめて笑える箇所も作るというバランスがさすがな映画。ラストはドラマの流れに決着をつけるような終わり方なので、基本的にはドラマをずっと観続けてきた人向けだとは思うんですけど、とにもかくにも山崎育三郎さんの演技は観ていただきたいです。
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