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警察組織12万人を敵にまわしても17年越しに冤罪解決に尽力した刑事に魂を揺さぶられる秀逸すぎるサスペンス映画『罪深き少年たち』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:14/65
  ストーリー:★★★★★★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:소년들(The Boys)
  製作年:2022年
  製作国:韓国
   配給:クロックワークス
 上映時間:124分
 ジャンル:サスペンス
元ネタなど:事件「参礼(サムレ)ナラスーパー強盗事件」(1999)
公式サイト:https://klockworx-asia.com/boys/

【あらすじ】

※映画.comより引用。
1999年、全羅北道(チョルラプクト)の参礼(サムレ)にあるウリスーパーマーケットで強盗殺人事件が発生。捜査は難航を極めたが、じきに警察は近所に住む3人の少年を容疑者として逮捕し、事件は終結したかのようにみえた。

しかし翌年、「狂犬」の異名を持つ敏腕刑事のファン・ジュンチョル(ソル・ギョング)のもとに、ウリスーパー事件の真犯人に関する情報が寄せられる。当時の捜査内容や記録に不可解な点が多いことに気付いたファンは、やがて事件に隠された秘密と警察・検察の暗部を目の当たりにする。

【感想】

実際に起こった事件を元にした映画なんですが、いやー、韓国のサスペンス映画は本当に面白いですね(実話ベースなので面白いと言ったら不謹慎かもしれませんが。。。)。二転三転する無実の罪を着せられた容疑者たちの供述と真相を追い求める刑事、そして正義であるはずの警察の悪事、、、すべてが秀逸でした!!

<腐れポンチな警察>

この映画で何が一番印象に残るかといったら、組織としての警察の胸糞悪さですよ。強盗殺人事件の容疑者として逮捕された3人の少年がいるんですけどね、完全に無実の子たちで。ろくな調査もせず、被害に遭った女性が咄嗟に答えた正確でない証言と、少年たちの日頃の行いを踏まえてのスピード逮捕。警察署内で拷問し、無理矢理自白させ、犯人にさせられてしまったんです。。。なぜ警察がそこまで逮捕を急いだのかはわかりません(ここらへん、何か背景があるともっと腹落ちしたかなって思いますが)。でも、結果的に警察は大きな過ちを犯し、それをさも正義かのように貫くんです。

事件の翌年、新しく赴任したファン刑事のもとに事件の真犯人に関する情報が寄せられたことで事態は思わぬ方向へと向かいます。不審に思ったファン刑事は事件の資料に目を通し、被害者や容疑者に聞き込みを開始。そこで新たに判明する真実の数々。そもそも、捕まった子供のひとりは文字の読み書きもできないのに、調書が書けているという誰がどう見てもありえないことが平然とまかり通っているんです。

でも、すでに終わった事件で、しかも警察側のミスを掘り返すことになるから当然反発も大きいんですよ。ファン刑事のやろうとしていることを握りつぶそうって輩もいまして。。。それがもうやるせないんですよね。ファン刑事の執念で真犯人を見つけて、その真犯人も罪悪感に苛まれて自分の犯行を認めるところまでいったんですよ。で、その自白を検事にも聞いてもらわなきゃってことで、真犯人3人と容疑者3人を対面させた上で改めて話してもらおうとしたら、同席した検事が嫌な圧力をかけてきて、結局真犯人は自白せず、容疑者である無実の少年たちの罪のままっていう。。。そのせいで、ファン刑事がやらかしたみたいな見え方になって島に左遷されちゃって。。。おいおいマジかよって。警察も検察も腐りすぎてるだろって。

<小さな正義の積み重ねが大きな成果へ>

それから16年が経ち、定年間近になったファン刑事が陸内に戻って来たら、あの少年たちは刑期を終えた身でまわりからは人殺しのレッテルを貼られていました。クソ警察のせいで3人の前途有望な人生が台無しになってしまったわけです。

彼らを助けられなかったことを後悔していたファン刑事ですが、同じ想いの人は他にもいました。先の事件で亡くなった被害者の娘もまた、自分のうかつな発言で罪もない少年たちが捕まってしまったことを悔い、再審の準備を進めていたんです。そして、その過程で真犯人のひとりに接触したことで、彼も自分の過去の過ちとどう向き合うか葛藤することになります。元はと言えば、真犯人が自分の罪を認めなかったことで、3人の少年たちの人生はズタズタになったのに、自分ひとりだけ過去を隠して幸せな家庭を築いて新しい人生を歩んでいるっていうのは、やっぱり少年たちからしたら面白くないですよ。面白くないんですが、その彼の証言がなければ3人の少年たちの無実が証明できません。ここらへんの人間模様が濃すぎてものすごく見ごたえありましたね。そういう地道な行動を踏まえての終盤の法廷シーンはとても印象に残ります。特に真犯人のエピソードは涙なしでは観れません。。

<そんなわけで>

スリリングなストーリー展開と濃厚な人間ドラマが秀逸な映画だったのでマジでオススメです!ちなみに、警察はこれだけ大失態を犯しておきながら、この件で処罰された人が誰もいなかったという事実に、「この国に正義はあるのか」と疑いたくなりました。。。

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