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夢見る処女じゃいられなかった少女が雑にバージンを卒業したら自己嫌悪に陥ってしまった『HOW TO HAVE SEX』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:75/90
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:How to Have Sex
  製作年:2023年
  製作国:イギリス・ギリシャ合作
   配給:カルチュア・パブリッシャーズ
 上映時間:91分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし
公式サイト:https://culture-pub.jp/hths_movie/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
タラ(ミア・マッケンナ=ブルース)、スカイ(ララ・ピーク)、エム(エンヴァ・ルイス)の3人は、卒業旅行の締めくくりに、パーティーが盛んなギリシャ・クレタ島のリゾート地、マリアに降り立つ。

自分だけがバージンで、 居ても立ってもいられないタラ。初体験というミッションを果たすべく焦る彼女を尻目に、親友たちはお節介な混乱を招いてばかり。タラは、バーやナイトクラブが立ち並ぶ雑踏を、一人酔っぱらい、彷徨っていた。

そんな中、ホテルの隣室の少年達と出会い、思い出に残る夏の日々への期待を抱くのだが――。

【感想】

陽キャ中の陽キャしか集まらないパリピの聖地で繰り広げられる若気の至り映画。最後、自身の行為を後悔しているように見える主人公タラですが、なんかもう自業自得じゃないかとしか思えませんでした(笑)

<初体験を済ませたいのは男子だけじゃない?>

アメリカン・パイ』(1999)に代表されるように、思春期の男子(しかもどちらかと言えば非モテ系)が童貞を捨てようと躍起になるコメディ映画は割とありますが、本作の設定自体はその女性版とも言えるようなものでした。男女ともに若いときは初体験を早く済ませたいのは万国共通なのでしょうかね。とはいえ、タラはいわゆるスクールカーストでは上の方にいそうな陽キャのギャルっちぃ女の子なので、バージン卒業に躍起になるというそのギャップが個人的には印象深かったですが。ただ、卒業旅行を期にバージンを卒業しようとするタラの置かれた状況は、一見甘酸っぱい青春映画のように感じますが、最後まで観るとその中身はコメディどころかむしろシリアスであることがわかります。

<パリピのレベルが日本とは桁違い!>

この映画を観てまず驚くのは、このマリアというリゾート地のパーティー三昧っぷりです。タラたちも最後の晩餐かってぐらい飲んで踊って吐いてまた飲んでの繰り返し。トイレでゲロゲロしてる最中に手渡されるのがテキーラのショットグラスという狂気。翌日の二日酔いもなんのその!再びパーティーに繰り出しては再び飲んで吐いてを繰り返します。ストイックというかバカというか、「こいつらパリピの超サイヤ人か?」と思うほどでしたね(笑)外人の方がアルコールの分解が早いと聞きますけど、それの成せる業なんでしょうか。

<旅先で芽生える恋心?!>

そんな中でタラたちはホテルの隣室のバジャーたちと出会います。意気投合していっしょに過ごすうちにバジャーに惹かれるタラ。このまま彼とゴールインかと思いきや、タラがゴールインしたのはバジャーの連れのパディでした。流れとしては、バジャーが勃起ゲームなる"超"がつくほど頭の悪そうなゲームに参加しちゃって、タラが少し引いちゃうんですよ。これは、壇上に上がった男性2人に、パーティーに参加してる女性が群がって、どちらを先に勃たせるかというしょーもなさすぎるゲームです。しかも、会場側がそれを主導して、まわりも恥じることなく盛り上がっているというあの異様な光景には圧倒されますね。

でも、ちょっといいなと思ってた男性が、他の女に体中ペロペロされてるのを見るのはまあ面白くはないと思いますよ。その場を離れたタラと偶然鉢合わせ、ビーチに誘ったのがパディ。タラも酔ってるのとバジャーの一件もあって、半分ヤケクソだった気がしなくもないですが、まさにセックス・オン・ザ・ビーチで大人への階段を登りましたとさ。

そうそう、このパディなんだけど、別にクソ野郎ってわけではないんですよ。ちゃんと事前に「いいかい?」と確認していましたし、タラもそれに「イエス」と返事をしていましたから。意識がないほど酔ってたわけでもなく、クスリを盛ったわけでもなく、それなら、この行為自体は合意の上と言えると思うんですけど、男性目線すぎるでしょうか、、、?

<若気の至りも快楽ばかりではない>

そこからのタラはもう抜け殻です。受け答えこそすれど、心ここにあらず。観た感じ、パディがどうこうというよりも、「あー、なんであたしこんなことしちゃったんだろう」という自己嫌悪のように見えましたね。バジャーが好きだったのに、雑に他の男と寝ちゃった後悔と言いますか。とにかく気分の落ち込みようがハンパなかったですね。「そこまで落ちる?!」ってぐらいに。自業自得じゃんって僕は思っちゃいましたが。

で、このバジャーが意外といいやつなんですよ。なんとなーくパディとのことを察したのか、もうパーティーに行きたくないというタラに付き添ってお茶してお話して、いい友人であり続けるんですよね。タトゥー入りまくってるし、勃起ゲームなんか出ちゃうし、しょーないクソ野郎だと思いきや、実は誠実っていう。そのギャップにバジャーの好感度上がりまくりです。そもそも、この映画は悪い人はひとりもいなくて、みんなどんちゃん騒ぎはしていたものの、いい人ばかりだったように思います。誰かを傷つけるような人は皆無でした。まあ、パディは1回タラと寝ている手前、彼女に対してちょっと調子に乗っていたところはありましたが(笑)

<そんなわけで>

一夏の恋、若気の至り、青春、そんなワードが似合いそうではありますが、それらが生み出す苦痛や後悔もきちんと描いた映画でしたね。決して楽しいことばかりではないよって。タラが自己嫌悪に陥っていた理由は女性の意見も聞いてみたいですが、、、もしタラが本当に辛かったとしたら、先ほども書きましたが、それはもう自業自得の面もあるかなとは思ってしまいます。ただ、酷い”2回目”があったからこそ"1回目"も否定したくなるっていうのもわかるので、この映画はけっこうセンシティブな問題をはらんでいると感じました。

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