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タイトルの意味を知ったとき、体中の水分が目から出るぐらい号泣する今年一番の感動作だったけど、最後のオチがネット記事の見出しになってしまうのはなんだかなあと思った『室井慎次 生き続ける者』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:28/128
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★★★★★★

【作品情報】

   原題:-
  製作年:2024年
  製作国:日本
   配給:東宝
 上映時間:117分
 ジャンル:ヒューマンドラマ
元ネタなど:テレビドラマ『踊る大捜査線』シリーズ(1997-)
公式サイト:https://odoru.com/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
警察を辞め、故郷・秋田に帰った室井慎次(柳葉敏郎)。「事件の被害者家族・加害者家族を支援したい」という想いで、少年たちと一緒に穏やかに暮らすも、ある日、家の傍らで他殺と思われる死体が発見される。

そんな中、かつて湾岸署を占拠した猟奇殺人犯・日向真奈美(小泉今日子)の娘だという少女・杏(福本莉子)が現れ、穏やかな暮らしを求めたはずの室井の日常が徐々に変化していく。発見された死体は、室井が指揮を執ったレインボーブリッジ事件の犯人グループの一人だったのだ。

かつての同僚であり、今は秋田県警本部長になっていた新城(筧利夫)に頼まれ、警視庁捜査一課の若手刑事・桜(松下洸平)とともに、捜査に協力することになった室井。そこに、服役を経て出所したリク(前山くうが・前山こうが)の父(加藤浩次)が訪ねてくる。

「家族でいる時間には限りがある」

不器用ながらも組織を守り、組織と戦い、組織のために生きてきた男が、不器用ながらも実直に、必死に家族を守ってきた。

敗れざる者…室井慎次の物語が、今ここに完結する。

【感想】

※以下、敬称略。
劇場版『踊る大捜査線』シリーズ通算第8作目。いや、、、まさかね、、、室井さんにこんなに泣かされるなんて思いませんでしたよ。。。前編の『敗れざる者』がほとんど過去作の流用と室井さんのDIYで終わってしまったから、後編はどうするんだろうと思ってたら、、、やってくれました。。。泣きすぎてTシャツびちゃびちゃになってしまいました(笑)

<これは室井慎次のけじめの物語である>

この2部作、「前編は何だったの!」ってぐらい後編はジャンルが異なります。前編はサスペンス映画だったから、後編はその事件の真相を追っていく流れになるかと思いきや、実際は室井さんの生き様と受け継がれていく意志を描いた感動のヒューマンドラマです。青島(織田裕二)との約束、「自分自身が偉くなって現場が正しいと思える捜査をできるような組織を作る」ということができないまま、室井さんは警察を辞めてしまいました。そのことがずっと心に引っかかっていた彼は、自分なりにけじめをつけようとしていたわけです。

室井さんはこれまで数えきれないほどの捜査をしてきました。その中で自分はたくさんの人を傷つけてしまったと言います(テレビドラマ版の雪乃さん(水野美紀)とか)。事件の被害者は本人だけでなく、その家族にも大きな傷跡を残します。だから、彼は自分のしてきたことの償いとして、故郷・秋田の人里離れた場所で、事件の加害者や被害者の子供たちを引き取っていっしょに暮しているんです。そこで見せる室井さんの柔らかい表情。「ああ、いつも眉間にしわを寄せていた室井さんがこんな顔をするなんて」と、シリーズをずっと追ってきた身からしたら感慨深いところです。一応、室井さんの家の敷地内で死体が見つかった事件については捜査も進んでいきますが、正直、そこはメインではないですね。この映画は、かつて眉間にしわを寄せてなかなか本心がつかめなかった男が、自身の過去と向き合い償っていく映画なので、事件そのものは『踊る大捜査線』らしさを残すためのちょっとしたスパイスって感じの印象です。

<"生き続ける"とはどういうことか>

よそ者として地元の人たちに邪険に扱われていた室井さんですが、彼がなぜ子供たちと住んでいるのかを知ることで、みんな徐々に室井さんとのわだかまりが溶けていきます。室井さんの気持ちはいろんな人に伝わり、そして、彼がずっと考えていた本庁と所轄の垣根を超えた捜査のあり方が、警察に残された者たちの手によって受け継がれていきます。この映画のタイトルである『生き続ける者』とは、室井さんの意志が"生き続けている"ってことなんだなあと本編を観て初めてわかりました。それであのまさかすぎる展開ですからね。もう涙が止まらない止まらない。「これだよ、こういうのだよ!!」って心の中で思いました(笑)

<ネタバレ防止するべきだった>

ただ個人的にはひとつ引っかかっていることがあって。最後の一番のサプライズがネット記事の見出しになっちゃっているんですよ(あえてリンクは貼りませんが)。しかも、一般公開前の先行上映の時点でそれが出ちゃってて、個人的にはいかがなものかと。まあ、本編終了後のおまけ映像みたいなものではあるんですが、、、あれは何の事前情報もなく観たかったなあ。宣伝を兼ねて、、、ってことなんでしょうか。室井さんだけでは思ったほどの興収が見込めないってことですか、、、?マーベルをご覧なさいよ。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)なんて、3人のスパイディが映ってるシーンをわざわざデジタル処理で消して予告に使うぐらいなんですから(笑)

<そんなわけで>

かつてテレビドラマ版の『踊る大捜査線』を観ていた方には絶対観てほしい映画ですね。室井さんは僕たちが思っている以上に強く、義理堅い男だったということがよくわかります。前編でがっかりしてもあきらめずに後編も観てください(笑)あと、本編とは全然関係ないんですが、タカを演じた齋藤潤って、時折若い頃の福山雅治のような顔を見せるなって思いました。将来が楽しみな役者さんですね。

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