見出し画像

ラストは感動で涙出たけど、全体的に主題と誰がメインの話なのかがわかりづらくて惜しいなと思った『ブルー きみは大丈夫』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:62/73
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★☆☆

【作品情報】

   原題:IF
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:東和ピクチャーズ
 上映時間:104分
 ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
元ネタなど:なし
公式サイト:https://blue-movie.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
幼い頃に母親を亡くした12歳の少女ビー(ケイリー・フレミング)は、ある日、おばあちゃんの家で、子供にしか見えない不思議な"もふもふ"ブルーと出会う。ブルーが友達だった子供は、今は大人になり彼の事を忘れてしまい、居場所が無くなったブルーは、もうすぐ消えてしまう運命に。

少女は、大人だけどブルーが見える隣人の男(ライアン・レイノルズ)の力を借り、ブルーの新しいパートナーになってくれる子供を探すのだった

【感想】

子供向けの印象ではありますが、かつて子供だった大人にこそ観てほしい映画だなと思えるような内容でした。それこそ『プーと大人になった僕』(2018)っぽい雰囲気でしたかね。

<日本ではイマジナリーフレンドって身近じゃない?>

これ、日本と海外でウケに差が出るんじゃないかなって思うんですよ。なぜなら、この映画でメインとなるキャラクターがいわゆる"イマジナリーフレンド"、つまり想像上の友達だからです。原題の『IF』はイマジナリーフレンドの略(邦題、だいぶ変えたなって思いますけどw)。小さい子って大人にはわからない自分だけの架空の友達を作るっていうじゃないですか。洋画を観てるとしょっちゅうそういう表現を目にしますが、これって日本でも一般的なんでしょうか。子供の可能性や想像力は万国共通な気もしますが、少なくとも自分はイマジナリーフレンドはいませんでした(『ドラゴンボール』や『セーラームーン』の世界に自分がいたらっていう妄想はよくしていましたけどw)。日本の映画やドラマでもイマジナリーフレンドがいる設定って観たことないですし(そもそも子供がメインの物語が少ない)、イマジナリーフレンドって言われても、日本ではイマイチピンとこないんじゃないかって思うんですよね。

<誰がメインなのかがわかりづらい>

まあ、そこはもうそういう設定だから仕方ないとしてですよ。物語の前半は、子供が大人になって忘れてしまったイマジナリーフレンドたちに、替わりの子供たちを見つけようって流れでした。しかしですよ、そもそもイマジナリーフレンドっていうのは個々の想像力によって生まれたものだから、「別の誰かとマッチングさせるのって違くない?」っていう違和感しかなかったんですよね。

案の定、マッチングがうまくいかなかったので、今度は大人になったかつての子供たちにイマジナリーフレンドのことを思い出してもらおうという方向に舵を切ります。なかなか思い出さないから、当時の思い出のきっかけとなる工夫なんかを盛り込んでなんとか思い出そうとしてもらうんですが、ここの主体者が誰なのか非常にわかりづらかったです。イマジナリーフレンドとしてはブルーがメインキャラにはなるんですが、その割には主体性が感じられないと言いますか、例えば、かつてのパートナーとどれだけ仲がよかったかとか、思い出してもらってどうしたいとか、そういうのがまったくないんですよね。まあ、イマジナリーフレンドたちは忘れられると存在が消えちゃうので、とりあえず思い出してもらえさえすればよかったんでしょうけど。で、その取り組みを進めているのがビーなので、むしろ彼女の方が目立っていましたね。彼女はブルーの相棒でも何でもなく、むしろ隣人の男と二人三脚で進めていたので、映画のヴィジュアル的にも邦題的にもブルーが前面に出る印象を受けますが、実際はビーの方が貢献度が高く、主役がどっちつかずな印象で、これがこの映画が刺さらなかった一番の要因だったと思います。

<結局、何をしたかったのか?>

大人たちにイマジナリーフレンドのことを思い出してもらうのはよかったんですが、人間側からすればイマジナリーフレンドのことを思い出したからといって何かあるわけでもないんですよねー。もちろん、子供の頃のことを思い出して幸せな気持ちになれるってのはあるかもしれませんが、そういった描写もなくて。結局、忘れられたら存在が消えちゃうっていうイマジナリーフレンドにとっては思い出してもらうメリットがあるけど、人間側のメリットはよくわからず。そもそも、ビーがイマジナリーフレンドたちのために手助けをしようとしたのも、「ブルーにしつこく絡まれないようにするため」ってんで、動機としてはちょっと弱いんじゃないかって感じましたね。ブルーがもっとパートナーであった子供との絆を感じさせてくれたり、人間たちが「子供の頃の無邪気で純粋な心があればなあ」なんて昔を懐かしむ描写があったりすれば、この映画の主題もより明確になってわかりやすくなったんじゃないかなーと思います。

<そんなわけで>

イマジナリーフレンドについてあまり身近に感じていない身からするとそこまで刺さらない映画でした。それだけに惜しいんですよ。ラストの「そうきたか」っていう展開にはメチャクチャ感動して涙しましたし、イマジナリーフレンドの声優がジョージ・クルーニーやサム・ロックウェル、ブラッドリー・クーパーなど豪華すぎるキャスティングだったので。そういえば、一言も発していないのに、なぜかブラッド・ピットの名前がクレジットされてました(笑)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?