金持ちのジャングルクルーズだった『ナイル殺人事件』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:20/35
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ミステリー
【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
アガサ・クリスティー『ナイルに死す』(1937)
・映画
『ナイル殺人事件』(1978)
【あらすじ】
大富豪の美しき娘の新婚旅行中に、クルーズ船内で起きた連続殺人事件。容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?そして、ポアロ(ケネス・ブラナー)の人生を大きく変えた≪衝撃の真相≫とは?愛と嫉妬と欲望が複雑に絡み合う、禁断のトライアングル・ミステリーの幕が開く。
【感想】
アガサ・クリスティー原作の有名な作品ですね。僕は結末を知りたくないので、原作小説および1978年の映画には触れませんでしたが。オーソドックスなミステリー映画という感じなので、推理モノが好きな人なら楽しめるんじゃないかなと思います。
<前半はジャングルクルーズ、後半から名探偵>
エジプトのナイル川を舞台に起こる殺人事件。しかし、肝心の殺人事件は1時間経たないと起こりません。じゃあその間何をしているかというと、優雅なエジプト旅行です(笑)ただね、その風景がすごくいいんですよ。ほとんどCGなんでしょうけど、広大なナイル川とどこまでも続く砂漠。巨大なピラミッドにロマンあふれる古代遺跡。もはや金持ちのジャングルクルーズみたいな感じで、ミステリー映画であることを忘れるほどでした(笑)
1時間経ってようやく人が死んだところで、メインの推理が開始されます。とはいえ、もう残り1時間しかないですからね。けっこうなスピード勝負で、テンポ自体はよかったです。
<煽りに煽るポアロ>
時代背景もだいぶ昔な上に、川に浮かぶ船内という限定されたシチュエーション。現代のように、科学技術を用いての捜査などできやしません。なので、現場に残されたヒントから徐々に真相を解き明かしていくというやり方は使えないんですよね。だから、ポアロは全員に対して「おまえが殺したんだろう」と言わんばかりの決めつけで煽ること煽ること。そりゃ疑うのが彼の仕事ではあるんですけど、自分の想像だけで物事を言い、相手がボロを出すのを待つような手法は、かなり強引なやり方でした。原作もこうなのでしょうか。持っている知識と勘を総動員して、犯人を探し当てるスリルはあるものの、ほぼ決め打ちで進めている感じがして、総じて「まあそうだよね」って思う内容でしたね(笑)
<そんなわけで>
正直、推理よりもエジプトの風景に心奪われるんですよ、この映画。ミステリーなのに、褒めるところがCG全開の風景ってのもアレですが(笑)それほどまでに推理部分はかなりトントン拍子に進むので、ここは好みが分かれるかもしれませんね。なので個人的には、前作の『オリエント急行殺人事件』(2017)の方が、ミステリー映画としては楽しめました。ただ、ポアロが口ひげを生やしている理由がわかったのはちょっとした収穫かもしれません。
あと、スーパーヒーロー映画好きとしては、『ワンダーウーマン』シリーズのワンダーウーマン(ガル・ガドット)と『ブラック・パンサー』(2018)のシュリ(レティーシャ・ライト)、『キャプテン・マーベル』(2019)マー・ベル(アネット・ベニング)が共演してたのは面白かったです。