ビジネスで大切なことを学べるだけでなく、存命する最高の役者はアル・パチーノだと思えるほど彼の演技に魅了された『スカーフェイス』
【個人的な満足度】
「午前十時の映画祭14」で面白かった順位:4/17
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★☆
音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Scarface
製作年:1983年
製作国:アメリカ
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ
上映時間:170分
ジャンル:アクション、バイオレンス、ギャング
元ネタなど:映画『暗黒街の顔役』(1932)
公式サイト:https://asa10.eiga.com/2024/cinema/1307/
【あらすじ】
※公式サイトより引用。
1980年、キューバ人の前科者トニー・モンタナ(アル・パチーノ)は、反カストロ主義者として国から追放され、フロリダ州マイアミへ流れてきた。
トニーは弟分のマニー(スティーヴン・バウアー)と共に、マイアミの麻薬王フランク(ロバート・ロッジア)から暗殺や麻薬取引などの仕事を請負い、その度胸を見込まれ部下となる。
裏社会でのし上がっていくトニーはしかし、フランクの情婦エルヴィラ(ミシェル・ファイファー)に魅かれていく。
【感想】
「午前十時の映画祭14」にて。1983年のアメリカ映画。実在したギャングのアル・カポネをモデルにした『暗黒街の顔役』(1932)という映画のリメイクで、あの有名なテレビゲーム『グランド・セフト・オート・バイスシティ』(2002)に影響を与えた作品でもあります。アル・パチーノに圧倒されっぱなしの3時間でした。
<ギャング同士のやり取りを通じてビジネスの基礎がわかる>
170分と長尺ながらもまったく飽きないどころかどんどんのめり込んで行くのは、ストーリーの面白さはもちろんのこと、やっぱり主人公トニーの野心家すぎるキャラクターと、彼を演じたアル・パチーノの演技力ゆえでしょう。もうさ、すごいんですよ、金も女も。欲しいものは全部手に入れようとするんですが、それを可能にしているのが彼の度胸と行動力です。トニーはもともとキューバから反カストロ主義者として追放され、アメリカに渡るも、「金さえあれば何でもできる」との考えから、闇の仕事へと手を染めていきます。そこで命の危険を顧みずに頼まれた仕事は速やかに確実にやり遂げることで、麻薬王フランク(ロバート・ロッジア)から直々に仕事を請け負うように。やっぱり仕事が早いのと、一番偉い人に気に入られるのは大事なんだなと思いましたね。
後に手がけることになるソーサ(ポール・シェナー)との麻薬の大口取引も、先輩が「帰ってボスの判断を仰ぐ」と言う中、自ら条件を提示して話をまとめようとすることで、先方からの信頼も勝ち取ります。まあ、後でフランクから怒られますし、ソーサとの関わりを持ったことでトニーも最後に命を落とすことにはなるんですが、「話ができる人」と思わせることの大切さは実際のビジネスにも通じますよね。まさかギャングから学ぶとは(笑)
<女性も狙った獲物は逃がさない>
トニーはビジネスだけでなく、女性に対しても確実に仕留めます。とはいえ、別に不特定多数の女性とヤリまくるとか、そういうタイプではないです(むしろ、そういうのは嫌っていました)。トニーはもともとフランクの女だったエルヴィラ(ミシェル・ファイファー)に一目惚れして、絶対落とすと決め、ちゃんと自分のものにしてしまうところがさすがなんですよ。あれだけ嫌がってたエルヴィラに対しても「あれは俺に気がある目だ」と言って口説き続ける自信たっぷりなところはオスとして尊敬しますね。まあ、もともと度胸と行動力がずば抜けているからこそできることだとは思うんですけど。
<意外と律儀な面もあるが、妹には異常なまでに溺愛する>
そんな裏社会に生きるトニーですが、女性と子供には手を出しません。終盤である暗殺ターゲットを狙っていたときも、その妻と子供たちが出てきたときは作戦を中止するぐらいには優しいというか、無関係の人間を巻き込むようなことはしません。振り返ってみると、「俺は汚ねぇことをするやつにしか汚ねぇことはしない」と言っていたぐらいなので、線引きをきっちりする人なのかもしれません。
ただ、妹のジーナ(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)には尋常じゃないほどの愛情を持つという風変わりな面もあります。兄として妹を愛することは自然なことだとは思うんですが、トニーの場合はジーナが他の男と仲良くすること自体にとても厳しいんですよ。彼女がクラブで男とイチャイチャしているのを見てブチギレ。男を追い出すと同時に、ジーナにも手をあげるほどなんです。もちろん、妹に恋愛感情は持っていないとは思いますが、父親がいなかったことで自分が父親代わりになろうとしていたのかもしれませんし、妹が自分のようにクズな道を歩まないようにしたかったのかもしれません。結局、ジーナと結婚した自分の弟分のマニー(スティーヴン・バウアー)を衝動的に射殺してしまうぐらい、妹が男といっしょになることに異常なまでの嫌悪感を抱いていました。
<振り切ったキャラクターが魅力的>
トニーはだんだん麻薬の摂取量が増えていき、劇中でも時間経過によってどんどん様子がおかしくなっていきました。そんな中で起こるラストの銃撃戦はマジで鳥肌モノです。ソーサとの約束を反故したために彼の雇った殺し屋集団がトニーの邸宅に攻め込むんですが、袋のネズミ状態なのにトニーは銃弾を浴びてもなかなか倒れず、最後まで罵声を荒げる体力が残っているところに彼の生命力の強さを感じましたね。この振り切りすぎた性格が、実際にいたら関わりたくはないですが、物語のキャラクターとしてはとても魅力的に映ります。
<耳なじみのいい音楽も好き>
あと、音楽もすごくいいんですよ。『Main Title』やそのアレンジである『Tony's Theme』のこれから何かとんでもないことが起こりそうな予感をさせる曲調もいいですし、『Gina』やそのアレンジの『Gina And Elvira's Theme』はテレビアニメ版『シティハンター』(1987-)で流れそうな感じで、すっごく耳なじみいいのが最高でした。
<そんなわけで>
アル・パチーノの凄まじい演技力に圧倒される映画なのでマジでオススメです。公開当時の彼は42歳で今の自分とほぼ同い年ですが、あの渋さとかっこよさは出せませんね。。。生まれ変わったらアル・パチーノになりたい(笑)当時24歳のミシェル・ファイファーも美しすぎてそれだけでも一見の価値ありです!