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前作と同じ構図ながらも主人公の置かれた状況や背負っている運命などから前作とは似て非なるものだと感じた『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:43/127
  ストーリー:★★★★★
 キャラクター:★★★★★
     映像:★★★★★
     音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Gladiator II
  製作年:2024年
  製作国:アメリカ
   配給:東和ピクチャーズ
 上映時間:148分
 ジャンル:アクション
元ネタなど:映画『グラディエーター』(2000)
公式サイト:https://gladiator2.jp/

【あらすじ】

※公式サイトより引用。
ローマ帝国が栄華を誇った時代――。平穏な暮らしを送っていたルシアス(ポール・メスカル)は、将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)率いるローマ帝国軍の侵攻により愛する妻を殺され、捕虜として拘束されてしまう。

すべてを失いアカシウスへの復讐を胸に誓ったルシアスは、謎の奴隷商人・マクリヌス(デンゼル・ワシントン)に買われ、ローマへと赴くことに。

そこで剣闘士《グラディエーター》となった彼は、復讐心を胸に、力のみが物を言うコロセウム《円形闘技場》で待ち受ける戦いへと踏み出していく――。

【感想】

グラディエーター』シリーズ第2作目。いやー、まさか24年越しに続編が公開されるとは思いませんでしたが、前作から引き続き古代ローマ帝国を再現したあの世界観には圧倒されますね、、、!皇帝の血を引く主人公ルシアス(ポール・メスカル)が自らの宿命と向き合っていく過程が面白いので、これはぜひ映画館で観てほしい作品です!

<全体的な構図は前作のまんま>

まず、この映画はびっくりするぐらい構図が前作と同じなんですよ。ヌミディアで妻と平穏な生活を送っていたルシアス(最初はハンノと名乗っていた)は、ある日ローマ帝国軍に攻め入られ、妻を殺害された挙句、自身も捕虜として拘束されてしまいます。そして、奴隷商人であるマクリヌス(デンゼル・ワシントン)に買われ、剣闘士(グラディエーター)として戦いの日々を過ごすハメに。前作のマキシマス(ラッセル・クロウ)とまったく同じじゃねぇかって(笑)でも、登場人物を掘り下げていくと置かれている状況や背負っている運命から、構図は同じでも中身はまったく違うことが本編を観ればわかります。

<皇帝の器を試されるからか、前作以上に今作はスケールが大きい>

前作では、マキシマスへの嫉妬からコモドゥス(ホアキン・フェニックス)が自分の皇帝殺しの罪をマキシマスに着せ、彼の妻子も殺しました。マキシマスは捕えられ、奴隷商人に買われた後、グラディエーターとして復活し、最後にはコロセウムでコモドゥスと一騎打ちの末、彼を殺して復讐を果たします。マキシマスもコモドゥスも私情のもつれから命の取り合いにまで発展したわけですね。

今作でもルシアスは妻を殺された恨みとして、ローマ帝国軍の将軍であるアカシウス(ペドロ・パスカル)を目の敵にしていました。ですが、アカシウス自身はローマ帝国を衰退へと導いている元凶である双子の皇帝の命令で仕方なく攻め込んだようで、本音としては双子の皇帝に対して謀反を起こし、かつてのローマ帝国復興を夢見ていたのです。まあ、ルシアスからしたら相手がどんなスタンスだろうが妻を殺されたことに変わりはないので、「そんなの知らんがな」っていう感じでしょうけど。ただ、今のローマ帝国では市民が苦しんでいることはルシアスもわかっていましたし、そんな状況を変えたいと願うアカシウスの声が届いたのか考えを改めるんですね。とにかく今のローマ帝国はおかしいと。倒すべき本当の相手は皇帝、そしてその裏で大きな野望を持っている奴隷商人のマクリヌス(デンゼル・ワシントン)ではないかと思い始めます。私情だけで動くのではなく、国と民のことまで考えようとしていたんですね。それは彼の血筋(後述)がそうさせたのかもわかりませんが。

<マクリヌスとかいう実は一番やべぇやつ>

で、この奴隷商人のマクリヌスってのがまた策士なんですよ。彼は戦争の捕虜などを闘技大会に必要なグラディエーターとして斡旋することで大金を稼ぎ、やがては政治の中枢へと入り込んでいきました。実は彼もまたローマ帝国を支配する野望を持っており、双子の皇帝に理解を示すふりをしながら彼らを葬り去るチャンスを虎視眈々と狙っていたんです。そういう意味では、彼は常に政治家でしたね。己の野望のために利用できるものは何でも利用するというスタンスでしたから。一番怖いタイプです。

<自らのアイデンティティに目覚めるルシアス>

そんな中で、ルシアスは自分の父がマキシマスであり、祖父がアウレリウス皇帝(リチャード・ハリス)であることを知り、ローマ帝国そのものを復興させる使命に目覚めていきます。嫉妬や復讐という個人的な感情が前面に出ていた前作とは違い、もっとスケールの大きい、それこそ皇帝としての器を見せつけるような話が今作の特徴でしたね。

てか、マキシマスの子供がルシアスだったって相当後付け感あるよなとは思いましたけど(笑)あと、マキシマス亡き後、命が狙われることを恐れてルッシラはルシアスを逃しましたけど、そういう事情も前作のルシアスの年齢ならわかると思うんですよね。なのに、ルッシラと再会したときに彼女に辛く当たったのは、「安全が確認できたら呼び戻す」と言いながらも16年経ったことに一種の寂しさというか反感あってのことなんでしょうかね。とはいえ、愛する母親であることに変わりはありません。アカシウスを信頼したのも、もしかしたら母親が再婚相手?に選んだ相手だったからかもしれません。

<そんなわけで>

前作と似た構図ながらも、もっとスケールの大きな話になっているのがこの映画の面白いところでした。自らのアイデンティティに目覚めるルシアスと、自分の手は汚さずに政治の中枢まで入り込んでくるマクリヌスの攻防も見どころ。映像も迫力あるので、これは映画館で観てこその映画でした!

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