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後半にかけて点と点が繋がっていく展開はよかったけど、基本殴り合ってるだけだった『ブレット・トレイン』
【個人的な満足度】
2022年日本公開映画で面白かった順位:35/127
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★★☆
映像:★★★★★
音楽:★★★★☆
映画館で観たい:★★★★★
【作品情報】
原題:Bullet Train
製作年:2022年
製作国:アメリカ、日本、スペイン
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
上映時間:126分
ジャンル:アクション
元ネタなど:小説『マリアビートル』(2010)
【あらすじ】
世界一運の悪い殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)が請けたミッション、それは東京発の超高速列車“ゆかり号”でブリーフケースを盗み、次の駅で降りること。簡単な仕事のはずが、次から次へと“ゆかり号”に乗ってくる殺し屋たち。彼らに狙われ、降りたくても降りられない!
最悪な状況の中、列車はレディバグと殺し屋たちを乗せたまま終着点・京都へと走る…。やがて明らかになる乗り合わせた10人の過去と因縁。そして、京都で待ち受ける世界最大の犯罪組織のボス=ホワイト・デス(マイケル・シャノン)!
思いもよらない展開が連続するミステリー・アクション!
【感想】
原作は伊坂幸太郎の『マリアビートル』(2010)。僕は読んでいないんですが、日本の小説を、しかもこれまで何度も書籍が映画化されている伊坂幸太郎の作品をハリウッドが実写化するっていうんで、かなり期待値は高かったです。ただ、全体的に面白くはあったものの、ちょっと期待値が高すぎたかなというのが個人的な感想ですね(笑)
<主人公の変更>
原作を読んでいない人にはほとんど関係ないことですが、まず、本作では主人公が原作とは異なります。原作での主人公は木村(本作ではアンドリュー・小路が演じています)ですが、映画ではブラッド・ピット演じるレディバグ(原作でいう七尾)に。主人公が変われば視点も変わるので、ここは原作を読んでいる人にも新しく映ったんじゃないでしょうか。本を読んでいる方たち、どうですか?
<外人が思う日本>
映画では、原作と違って登場人物のほとんどが外人になっています。そのためか、映し出される光景も日本なんだけどちょっと日本じゃない感じがしますね。世界観としては「外人が思う日本」という、日本人からするとやや誇張されているなと感じる描写が特徴的でした。基本的には新幹線の中にいるんですが、所々に映る街並みは、夜かつネオン輝く雰囲気が目立ち、サイバーパンクな雰囲気さえあります。また、新幹線にもキッズ専用スペースかはわかりませんが、マスコットキャラクターのモモもんスペシャル車両みたいなところがあり、そこもネオン輝く妖美な空間になっていましたね。もちろん、これは本作の監督であるデヴィッド・リーチが自身の感性に寄り添って作り上げた幻想の世界です。詳しくは彼のインタビューをご覧ください。
<点と点がつながっていくストーリー展開は面白い>
ストーリー的には、前半がちょっと退屈かなと個人的には感じました。いろんな殺し屋が出てくるんですが、お互いに何の関係性も明示されないので、まさに「点」が混在している状態なんですね。ノリも外人にウケそうな感じで、笑いのツボも日本人のそれとはちょっと違うかなあと思います。
それが、物語が進むにつれて、その点と点が繋がっていき、黒幕の仕組んだことだったというのが見えてきます。この過程が本作の面白いところなんでしょうけど、原作を読んでいないと、情報の整理が追いつかないので、少し頭の中が混乱するかもしれません。
後半ではラスボスのホワイト・デスを交えて、高速で走る新幹線内で起こるド派手なアクションの見せ場。『ウルヴァリン:SAMURAI』(2013)を彷彿とさせて、とてもスリリングな内容でした。
ちなみに、デヴィッド・リーチの監督作品、他に知っているのありますか?あまり多くないので全部書いちゃいますが、以下がその作品リストです。
『ジョン・ウィック』(2014)
『アトミック・ブロンド』(2017)
『デッドプール2』(2017)
『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(2019)
『Mr.ノーバディ』(2021)
『ケイト』(2021)
もう何か見えてきますよね。どれもアクションがド派手で僕が大好きな映画ばかりです。まあ、今回の映画も結局は狭い新幹線の中でボコボコ殴り合っているだけでしたから(笑)ただ、過去の作品は登場人物が絞られている分、ストーリーもキャラクターもしっかりしていたので、僕もハマったんだと思います。『ブレット・トレイン』は登場人物が多くてひとりひとりがあっさりした印象だったのが、僕が思ったよりもイマイチだと感じた理由なんだと思います。
<キャストを楽しむ>
なので、この映画はストーリーよりもキャストの豪華さの方が楽しめるかもしれません。
まずは何と言ってもブラピですよ。相変わらずかっこよすぎです。ロン毛も短髪も両方似合う奇跡の男じゃないですかね。
次に、サンドラ・ブロック。実はブラピとサンドラ・ブロックは、6月に公開した『ザ・ロストシティ』(2022)でも共演してました。そのときはブラピの無駄遣いだと思ったんですが、今作ではその逆になっています。まあ、無駄遣いと言えば、意外な俳優さんも2名出ておられますが(笑)
タンジェリン(原作でいう蜜柑)を演じたのが、アーロン=テイラー・ジョンソンです。『キック・アス』シリーズで主人公キック・アスを演じ、マーベル作品でも高速移動の能力を有するクイックシルバーを熱演してました。
そして、我らが真田広之ですよ。最近はハリウッドのアクション映画に参加しまくっていて、日本人としてとてもうれしいですね。
あと、プリンス(原作でいう王子)を演じたジョーイ・キングもかわいかったです。原作の王子は中学生なんですが、ジョーイ・キングはもっと年上。王子は中学生というギャップがよかったと思うんですが、今回はそれを若い女性に変えることで、同じように強いインパクトを狙ったんじゃないかなあと。
<そんなわけで>
総じて、小説の方が面白そうだなっていう気はします。なので、原作を読んでいない方がある意味楽しめるかもしれません。スピード感あふれるアクションは迫力あるので、そういうのが観たければぜひ。もちろん、ブラピを拝みたい人も(笑)