【ネタバレあり】ランプの魔人の身の上話を聞かされた挙句に謎のロマンスに陥るという意味不明な映画『アラビアンナイト 三千年の願い』
【個人的な満足度】
2023年日本公開映画で面白かった順位:31/31
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★☆☆☆
【作品情報】
原題:Three Thousand Years of Longing
製作年:2022年
製作国:オーストラリア・アメリカ合作
配給:キノフィルムズ
上映時間:109分
ジャンル:ファンタジー、ラブストーリー
元ネタなど:短編集『The Djinn in the Nightingale's Eye』(1994)
【あらすじ】
古今東西の物語や神話を研究するナラトロジー=物語論の専門家アリシア(ティルダ・スウィントン)は、講演のためトルコのイスタンブールを訪れた。
バザールで美しいガラス瓶を買い、ホテルの部屋に戻ると、中から突然巨大な魔人〈ジン〉(イドリス・エルバ)が現れた。意外にも紳士的で女性との会話が大好きという魔人は、瓶から出してくれたお礼に「3つの願い」を叶えようと申し出る。そうすれば、呪いが解けて自分も自由の身になれるのだ。
だが、物語の専門家アリシアは、その誘いに疑念を抱く。願い事の物語はどれも危険でハッピーエンドがないことを知っていたのだ。魔人は彼女の考えを変えさせようと、紀元前からの3000年に及ぶ自身の物語を語り始める。
そしてアリシアは、魔人も、さらに自らをも驚かせることになる、ある願い事をするのだった……。
【感想】
これはタイトルに騙された気がしますね(笑)いやだって、『アラビアンナイト』っていうタイトルかつ、監督が『マッドマックス』シリーズのジョージ・ミラーだっていうじゃないですか。なんかこう「ヒャッハー!」なアラジンを想像していたら、そんな要素は欠片もありませんでしたね(笑)
<なっがい身の上話>
設定自体は面白いと思いました。小瓶から魔人のジンを解き放ったアリシアですが、願い事を言わないんですよね。それは、彼女が物語論の専門家で、古今東西あらゆる物語を振り返るに、この手の話にハッピーエンドがないことを知っていたからです。それに、彼女は独り身とはいえ、自分が好きな研究に没頭できて、今の生活に十分満足しているんですよ。これ以上何を望むの?って。「3つ何を願おうか」なんて妄想しながら観ていた自分がまるで煩悩の塊みたいじゃないですか(笑)
願い事をされないと、自分が自由の身になれんたいので、ジンは自分の半生を語り始めます。まあ、居酒屋のおっさんが身の上話を始めるようなノリですが、これが長いんですよね。実際に目の前に彼がいたら間違いなく面白い話として聞けるんでしょうけど、映画として観ると「それはわかったんだけど、今はこの後どうするの?」っていう急ぐ気持ちしか出てきませんでした。その後、ようやく物語が進みますが、、、ここから先はネタバレになるので、まだ知りたくない方はここでページをそっ閉じしてください。
<ロマンスを描くには尺が足りない>
願い事が特になかったアリシアですが、願い事をしないという選択をするとジンが消滅しちゃうってんで、半分本気、半分冗談のような形でものすごい願い事をします。それは、「私があなたを愛するから、あなたも私を愛して」というもの。魔人と人間の恋愛なんてすごく楽しそうじゃないですか!これはこの後の展開が気になるぞって思ったんですが、映画の尺も残り少ないんですよね。先の身の上話で8割も使っちゃってますから。だから、2人の仲睦まじい日々が始まるものの、残り20分ぐらいでの展開なので中身がほとんどないっていう(笑)魔人と付き合うことによるすったもんだでもあればもう少し楽しめましたね、これは。尺のバランスがおかしいって。
<結局大事なのは愛>
ジンは過去に愛する女性とうまくいかなかったし、アリシアも結婚歴はあるようだけど今はおひとりさまです。そんな2人が魔法の力とはいえくっつくんですから、何だかんだで愛というか、人との触れ合いが大事なんだなとは思いました。ただ、それを言うためにこの世界観?というのはちょっと謎ですね(笑)いや、こんな壮大なファンタジー感を出しつつも、結局描いたのは「愛」という普遍的なテーマだったところに、ジョージ・ミラー監督の才能が表れているのかもしれません。
<そんなわけで>
タイトルに騙されて、アドベンチャーやアクションを期待して行っちゃダメな映画でした(笑)ランプの魔人と人間の女性のラブストーリーということを意識して観た方がいいかなあと。それでも、肝心のそこが大して描かれないのでイマイチつかみきれない話ではあるんですが(笑)