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ルッキズムに苛まれて性格が歪んだムッツリスケベのファントムってただのやべぇやつだと思った『オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター』

【個人的な満足度】

2024年日本公開映画で面白かった順位:64/76
  ストーリー:★★★☆☆
 キャラクター:★★★☆☆
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★★
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

   原題:The Phantom of the Opera
  製作年:2024年(オリジナル版は2004年)
  製作国:アメリカ
   配給:ギャガ
 上映時間:141分
 ジャンル:ミュージカル、ラブストーリー
元ネタなど:小説『Le Fantôme de l'Opéra』(1909)
公式サイト:https://gaga.ne.jp/operaza4K/

【あらすじ】

※映画.comより引用。
19世紀のパリ・オペラ座では仮面をつけた謎の怪人・ファントム(ジェラルド・バトラー)の仕業とされる奇怪な事件が続いていた。

リハーサル中に起こった事故をきっかけにプリマドンナの代役を務めることになった若きオペラ歌手のクリスティーヌ(エミー・ロッサム)は、初主演となったその舞台で喝采を浴び、幼なじみの青年貴族ラウル(パトリック・ウィルソン)とも再会を果たす。クリスティーヌに才能を見いだしたファントムは、彼女に音楽の手ほどきをし、クリスティーヌはファントムを亡き父親が授けてくれた「音楽の天使」と信じ、プリマドンナへと成長する。

ラウルに愛されながらも、孤独な魂と情熱を持ったファントムに心をひかれていくクリスティーヌだったが、ある時、ファントムの仮面の下に隠された秘密を知ってしまう。

【感想】

これまで何度も舞台化・映像化されてきた『オペラ座の怪人』。本作は2004年の映画を4Kデジタルリマスターとして新たに作られたものです。僕は今まで原作はおろか、舞台も映像も観たことなかったので、今回スクリーンで観れてよかったです。

<20年経っても色褪せない音楽と映像の素晴らしさ>

『オペラ座の怪人』と言えば、やはりあのメインテーマでしょうか。パイプオルガンから始まる荘厳な音楽。映画を観たことなくともあの音楽は聴いたことがあるという人も多いと思います。また、舞台がオペラ座ということもあり、煌びやかな映像の数々もスクリーンで観てこそでしたね。

ただ、個人的にはもともとこういうクラシック寄りの設定は好みではないので、ものすごく刺さったわけではありません。正直、前半はちょっと退屈に感じていたぐらいです。とはいえ、終盤のシャンデリアが落ちてくるシーンからの怒涛の展開は面白かったですけど。

<ファントムとかいうただのやべぇやつ>

この作品はやはりファントムの存在あってこそだと思うんですが、現代の感覚からすれば、相当こじらせてますよね。醜い顔に生まれて見世物小屋に入れられ、その後もオペラ座の地下でずっと生活していたからそうなって然りかもしれませんけど。映画だとちょっと火傷したような顔でそこまで醜さを感じませんが、原作では「鼻も唇もなく、落ち窪んだ目、生来の醜悪な人相に壊死した黄色い皮膚で覆われた、見るもおぞましいミイラのような顔」らしいです(Wikipediaより)。確かにそんな人にいきなり求婚されたら、クリスティーヌもびっくりするでしょう。ファントムも外の世界を知らないから、女性との距離感を掴めなかったんでしょうね。地下室に連れ去って、クリスティーヌと穏やかな時間を過ごして、それでいけると思ったんでしょうか。

<こいつもやべぇなと思ったクリスティーヌ>

本作におけるヒロインであるクリスティーヌですが、僕に言わせれば彼女も相当にやべぇと思います。そもそも長い間、「音楽の天使」つって姿も見せずに話しかけてくるファントムを怪しめよって(笑)まあ、幼い頃からの関係っぽいので、妖精やサンタクロースを信じるようなものだったかもわかりませんが。

あと、ファントムに変に優しさを見せるから彼もつけ上がったんでしょうね~。当初はファントムに惹かれるようなそぶりを見せながらも、幼馴染のラウルにもぞっこんだったりするのでどっちだよって。で、ファントムとラウルが戦ったりするので、「あたしのために争わないで!」ってか?そういうとこだぞって(笑)まあ、普通に考えればラウルの方がハイスぺ男子でこちらに軍配が上がりそうですけど、どこの馬の骨ともわからないながらもひとりの女性の心を突き動かすほどにファントムの音楽の才能も群を抜いていたってことですかね~。

<ファントムのポジション的に似ていると思った作品>

ファントムってもともと悪人ってわけではないと思うんですが、劇場側にいろいろ物申す横柄さもあってか、まわりから恐れらているところが『美女と野獣』(1991)の野獣っぽいなと思いますし、醜い姿ゆえにあまり人前に姿を出せず、それでいて意中の人と結ばれないところなんかは『ノートルダムの鐘』(1996)のカジモドっぽい感じがするのは僕だけでしょうか。でも、それらとは違ってハッピーエンドにはならないですし、こっちの方がもっとシリアスなのでそこまで似てるってわけでもないんですけど。

<そんなわけで>

全体的に悲運のラブストーリーって感じではありますが、これはもうファントムがただのやべぇやつってんで、個人的には世間がいうほどの面白さは感られませんでした。とはいえ、歌と映像はよかったですし、不朽の名作ってことで一度は観ておいてもいいかもしれません。今や渋いおじさんになったジェラルド・バトラーがまだ30代前半ってことで若々しいのもポイントです。てか、ファントムはどうやってあの仮面をつけていたんでしょう(笑)

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