韓国版『スピード』だった『ハード・ヒット 発信制限』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:16/32
ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★★☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
スリラー
アクション
【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
『暴走車 ランナウェイ・カー』(2015)
【あらすじ】
銀行支店長として働くソンギュ(チョ・ウジン)は、毎朝車で子どもたちを学校へ送り届けそのまま職場へと向かう。それはいつもと変わらない、当たり前の日常のはずだった。
しかし、1本の電話が彼の運命を一変させる。運転中にかかってきたそれは「発信番号表示制限電話(非通知電話)」。声の主がソンギュに告げる。「車から降りれば、仕掛けた爆弾が爆発するだろう」と。タチの悪いイタズラだと電話を切ろうとするソンギュ。そのとき、目の前で同僚の車が大爆発を起こす。
警察に助けを求めることも、そして車を降りることも許されない絶体絶命の状況の中、ソンギュの日常は制御不能の悪夢へと塗り替えられてゆくのだが…。
【感想】
本作は2015年のスペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』の韓国版リメイクです。いやー、オリジナル版も観たかったんですけどね、どこの配信サービスにもなく、近くのTSUTAYAにもレンタルの取扱いがなかったので、泣く泣く断念しました。ちなみに、リーアム・ニーソン主演でもリメイク作品が制作中のようです。
<既視感ある設定に某映画を思い出す>
主人公ソンギュは、何者かによって自分の車に爆弾が仕掛けられてしまうんですね。車から降りたり、犯人の言う通りにしないと爆発すると。なんか、どこかで見たような設定だと思いませんか?(笑)そう、『スピード』(1994)です。若き日のキアヌ・リーヴスとサンドラ・ブロックが出ていた名作。あれは、バスに爆弾が仕掛けられて、時速80kmを下回ると爆発するという設定でしたが、本作では速度の規定はありません。その代わり、今回の爆弾は重さを感知します。一度座ると作動し、一定の重量をかけ続けないと爆発してしまうというもの。なので、降りたら即アウトですね。まさに死と隣り合わせという状況は緊張と不安を煽りますね。
<ハリウッドに負けないカーアクションはさすが>
そんな絶体絶命のピンチな状況を、スピード感溢れるスリリングな展開に仕上げているのが、韓国映画のいいところだと思います。とにかくアクションに妥協がないというか、ガチでやってくるんですよね。韓国も国土が広いわけじゃないから、日本のように都市部は狭い上に交通量が多いです。そんな中でもおかまいなしに車を爆走させて、ハリウッド並みのカーアクションを披露してるのはさすがですよ。その映像だけで、見映えがメチャクチャよくなるんで。同じアジア映画でも、邦画のアクションとは訳が違います。
そのド派手なアクションの中で、爆弾に対する恐怖、すぐに金を集めなければならない焦り、同乗している子供たちへの心配、真実を知ったときの後悔など、あらゆる負の感情が押し寄せてくるのがこの映画の見どころですね。
<好みが分かれそうなラスト>
全体的にスリルと興奮を味わえる内容ではあるんですけど、ラストが近づくにつれ、個人的にはちょっと「あれ?」と思い始めて(笑)犯人を捕まえてチャンチャン的な終わりを期待してたんですが、今回の事件の発端って、ソンギュの過去の過ちが原因なんですよ。そこに気づいてから、ヒューマンドラマというか、家族を想うハートウォーミングな雰囲気が出てきて。感動的な要素でいいとは思うんですが、僕はこれまでのスリルと興奮が一気に冷めてしまったんですよね。作品のベクトルの向く方に、自分の気持ちが向かなくて。。。
<そんなわけで>
設定は面白かったですし、アクションもすごかったんですが、ラストがうまく噛み切れなかった、そんな印象の映画でしたね。
あと、気になるところがひとつあって。最初に「外部に連絡したら爆発させる」と犯人は言ってるんですが、ソンギュは事前確認なしに外部と連絡を取るシーンがあったので、あれはよかったんだろうかって思いました(笑)まあ、連絡しないと金も用意できないんで、犯人もそこはわかっていたのかもしれませんけど。