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【俳句】冬蜂 寒凪 日短 年の果 討入り〜碧 萃生

冬蜂の羽ばたく先の磨硝子すりがらす

寒凪かんなぎや解体現場の足場伸ぶ

日短ひみじかを伝へて妻の手を止めぬ

電飾の道まっすぐや年の果

討入りの日や小走りにごみを出し

「討ち入り」や「義士」に関する言葉は、ポピュラーなこの時期の季語だと思っていた。
ところが、普段僕の使っている「合本 俳句歳時記」(角川学芸出版)には、「討ち入り」の季語はない。
「義士祭」が載っているが、これは春の季語となっている。
この「義士祭」は東京の泉岳寺で4月の初めに行われる行事とのこと。
例えば京都の大石神社では、毎年12月14日に「山科義士祭り」が開催されるが、季語にはなっていない。
「討ち入り」は季語ではないのか。
ところが、最近入手した「カラー図説 日本大歳時記 座右版」(講談社)には「義士会」が冬の季語として掲載され、「義士討入りの日」が子季語となっている。

昔は、この頃になると、テレビで赤穂浪士の映画やドラマが放映されていたが、最近はそんなものもない。
朝、顔を合わせれば、
「今日は討ち入りですね」
「そうですね」
そんな挨拶も、聞かなくなった。
もっとも、理由がなんであれ、ひとりの年寄りをみんなで取り囲んで殺してしまうなんていうのは、今ではコンプラ的に問題があるのかもしれない。

※見出し画像は、御堂筋のイルミネーション

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