ナースの卯月に会ったなら〜「ナースの卯月に視えるもの②絆をつなぐ」秋谷りんこ
前作から2年後の物語。
卯月咲笑は変わらず青葉総合病院の長期療養型病棟に勤務している。
お喋りで食いしん坊の山吹奏や、最近イクメンとなった御子柴主任、キリッと香坂師長も登場する。
変わったのは、卯月が病院勤務の傍ら、専門看護師になるために大学院に通学していることと、そして、思い残しに対する卯月の関わり方だ。
思い残しとは、その人が最後に会いたい人、謝りたい人など。
そんな人の姿が、卯月にはうっすら透けて見える。
前作では、その人の思い残しを解消するために、探偵ばりの活躍をする卯月。
ミステリー、謎解き、時にアクション、そしてしっかり泣かせるのが前作だった。
この2年間思い残しの視えることのなかった卯月だが、香坂師長の陰に思い残しを視たことから、再び視えるようになる。
しかし、今回は積極的にその思い残しを解消することはない。
むしろ、その思い残しにしっかりと寄り添うことを選ぶ。
だから、その分、読者は泣ける。
一章ごとに、泣きポイントがやってくる。
僕も、何度も本を閉じた。
「やばい、俺、泣く」
電車の中やカフェなどで読む方は、十分注意した方がいい。
著者の秋谷りんこさんは、昨年のnote創作大賞で別冊文藝春秋賞を受賞。
受賞作の「ナースの卯月に視えるもの」で今春作家デビューされ、今作が早くも2作目となる。
なんと、夢のある話だろう。
「ナースの卯月に視えるもの」は間も無くドラマ化される。
いや、知らんけど、される筈だ。
されなければ、日本のテレビ界に未来はない。
その時にキャストはどうするのか。
僕の中では、まだ決まっていない。
毎回登場する患者役には、古畑任三郎の犯人役のように、大物俳優をお迎えしようと思っている。
そして、秋谷りんこさんには、毎回カメオ出演をお願いする。
なんなら、卯月役でもいいのだけれども。
「お前が決めるんかい」と言わずに、皆さんも、いろいろなキャストを考えてみられては。
もしも卯月が僕を見たとしたら、どんな思い残しが視えるのだろう。
うん、心当たりはある。
読者それぞれが、想像してみるといい。
卯月に会ったら、自分の後ろにはどんな思い残しが視えるだろうかと。
そうすれば、今やるべきことがわかるかもしれない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?