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本を読まない世界

本「読まない」急増6割
こんな見出しが、今朝の読売新聞一面にある。
月に一冊も本を読まないと答えた人の割合が63.6%、前回の2018年度の47.3%から15.3%上昇した。
ここで言う本には漫画や雑誌は含まれていない。

しかし、本の売り上げそのものはどうなのだろうか。
町の本屋さんだけでなく、大型書店も閉店の話をよく聞くが、それは本の売り上げよりも、Amazonなどの通販や電子書籍の影響の方が大きいのだろう。

最近は、いわゆる鈍器本と呼ばれるような分厚い本が増えている。
小説に限らず、ノンフィクション、ビジネス本に至るまで、とにかく分厚い。
少々の長編には抵抗感のない僕でさえ、買うのを躊躇する。
この出版不況の時代に、あれだけの本を出すと言うことは、それだけ中身に自信があるのだろう。
僕は読んでいないが、実際に京極夏彦の本なんかは、あれだけの長さを一気読みしたとよく聞く。
あんなに分厚い本が読まれているんだから、結構みんな読書してるんじゃないのかと思っていた。
あんなに分厚い本が売れているだから、出版不況も、怪しいもんだとも思っていた。
現実には、ここにも二極化の波が押し寄せているのだろう。
本をよく読む人と、まったく読まない人に。
まさか、冊数で稼げないから単価を上げてやれということではあるまい。
もちろん、本を読まない人が増えることと、本の売り上げとは、必ずしも同じ問題ではない。

読書が好きになるには、きっかけが必要だと思う。
僕の場合には、幼い頃、寝る前に父がよく本を読んでくれた。
それも、絵本などではなかった。
面白い話、怖い話、偉人の話、不思議な話などが入った、確か4冊セットのものを買ってきて、その中から一話を選んで読んでくれる。
対象は、もう少し年齢が上の子供だったのだろうが、読んでもらえれば理解できる。
そして、好きな話は、本を引っ張り出して、自分でも読んでみようとした。
それからずっと本好きだったわけではない。
途中は、野球に明け暮れてまったく読まない時期もあった。
漫画に熱中した時期もあった。
それでも、こうして本を読み続けている土台には、幼い頃の父の朗読の影響が大きい。

つまりは、僕の父も読書好きであったわけだ。
本を読まない親は、多分子供にも本を読もうとはしないだろう。
決して裕福な家庭ではなかったが、僕の父は、本となればお金を惜しまずに買ってくれた。
本を読まない親は、本にどれだけの価値を認められるだろうか。

別に本を読まなくても、生きていける。
生きていけると言っても、これは、本を読まなくても死なないと言うのと同じ程度の意味だ。
本が読みたくても読めない人もいっぱいいるぞと言われるかもしれない。
しかし、読みたくても読めない人と、読めるのに読まない人とは、天と地ほどの差がある。
読む/読まないの境界線を引けば、読みたくても読めない人は、読む側のどこかに位置するはずだ。

最近は、知識だけなら、YouTubeなどの動画からも得られる。
本を読まずに、動画とSNSとネットニュースだけで育った世の中がどうなるのか。
その答えを知るには、もう少し待たなければならない。

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