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『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』を読む
本日は、弘兼憲史『弘兼流 60歳からの手ぶら人生』(中公新書ラクレ2022)の読書感想文です。
いい年の取り方をしている人から盗む
ついこの間、50代に突入した感慨に浸っていたと思ったら、気が付けばもう56歳になっており、数年後に迫っている60代をどのように過ごすかの準備をする必要があると感じ始めています。「確実に訪れる未来に備えて生きる」は、私の流儀です。10代→20代前半→20代後半→30代→40代→50代、と常に先を見据えながら、考えを巡らせて来ました。全て想定通りに進んだ訳ではないものの、全く想定外の道に進んでしまったとも思っていません。
最適なのは、自分の先を歩んでいる先輩の姿を研究することだと思います。大量の情報を浴びた中から、その時点での自分の琴線に触れる生き方をしている人のことばや行動を模倣するのは、かなりコスパのいいやり方だと思います。昔から知っていて、当時は余り関心がなかったものの、最近になって妙に心惹かれる存在に出会う場合もあります。
例えば、最近の小泉今日子さん(1966/2/4-)の自然体ながら、センスのいい生き方や仕事ぶりには憧れを抱きます。アイドルとして人気絶頂だった時代からの熱烈なファンの人には怒られそうですが、その頃よりも今の方が断然魅力的に感じています。彼女が手掛けている「BAD MORNING! CLUB」というイベントに、一度参加できないかな、と考えている所です。彼女の「年長者はシニアではなく、”ヴィンテージ(時間の経過とともに価値が高まったもの)」ということば選びが何とも素敵です。
至言をたっぷり噛み締める
本書の著者である弘兼憲史氏(1947/9/9-)も、いい年の取り方をするための引き出しを沢山持っていて、いいヒントを与えてくれます。50代を迎える前にも、弘兼氏の50代の過ごし方についての本を読み、色々心の準備と心構えを参考にした記憶があります。残念ながら、内容はほぼ覚えておらず、実践できているのか、成功しているのか、現段階では検証出来ていませんが…
弘兼氏の本職は、言うまでもなく、漫画家です。『課長島耕作シリーズ』『人間交差点』『黄昏流星群』などのベストセラー作品を連発している超売れっ子作家ですが、氏の漫画作品は自分で買ったことがなく、散髪屋での順番待ちや、定食屋、ネットカフェで、本棚に並んでいるのが目についた時に読むのが定番でした。氏の漫画作品は、私には少々圧がきつく、心底のめり込めない感覚がいつもありました。しかしながら、こうした軽やかなエッセイの方はスラスラと読めて、共感することがとても多いから不思議です。
私の読んだのは、2022年発売の新書版ですが、オリジナルが発売されたのは2016年11月で、その時点で氏は70代目前なので、60代をほぼほぼ経験し終えての格言になっているので、説得力があります。多くの同意する項目があり、是非真似してみようと思った生き方がありました。
死も老いもどちらもみんなに平等にやって来るもので、さからうことはできません。それならば、そのまま受け入れればいいだけです。
には全く同意します。氏が大切にしている価値観に共感できるので、アドバイスに影響を受け易いという部分があるのかもしれません。
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