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心の底から安堵した週末
三連休の二日目、三日目は、横浜の自宅に帰り、息子が楽しみにしている首都圏電車旅に付き合う予定でした。しかし、私の不注意によってあわや大惨事という事件が起きてしまい、肝を冷やす経験をしました。最終的には、事無きを得たものの、約2時間、途轍もない不安と疲労感を味わいました。昨日、記事の連続投稿記録を途絶えさせてしまったのも、この事件が原因です。二日分の記事を、深い反省を込めて残します。
深夜の高速バスで帰着
今回は初の試みで、松本駅を土曜日の夜23:55に発車する、どっとこむライナーの深夜バスを使い、日曜日早朝に秋葉原駅に着きました。妻には事前に、着いた日の午前中は、お気に入りの神保町古書街をぶらつき、昼前には自宅へ帰る、と連絡していたのですが、疲れと眠さを感じ、真っ直ぐ家に帰ることにしました。
6時過ぎには家に帰り着いて、息子の眠っている隣に布団を敷いてもらい、2時間程爆睡しました。年齢的にそろそろ深夜バスは、厳しいと感じました。
息子との電車旅の開始
ゆっくり遅めの朝食を摂り、昼過ぎに息子と家を出て、最寄り駅に向かいました。事前にやる気満々で待っている、と聞いていたので、コースは息子に任せて、長めの電車旅に付き合うつもりでした。ことばを交わすわけではないですが、これが父と子との貴重な時間である、というのが二人の共通理解です。質より量で、一緒に過ごす時間の長さは嘘をつかない、と固く信じているし、私と息子が出かけることで、普段苦労をかけている妻に自由時間をプレゼントすることにもなります。一石三鳥となる効果的な打ち手が、週末の親子電車旅なのです。
今回も息子の行動に従い、武蔵小杉駅で湘南新宿ラインに乗り換え、新宿駅で中央線に乗り換えました。車内では、私は座席に座り、本を読みながら、ちらちらと息子の様子を観察しています。駅に着くと、駅名表示の看板やドアの開閉する様子を撮影したい息子に、私のスマホを貸していました。
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大事件は、中央線を中野駅で下車した後に起こりました。
生きた心地のしなかった中野駅での約2時間
ドアのそばに立っていた息子は、中野駅で降りると、ダッシュで階段通路に向かっていきました。私は一瞬、追いかけるのが遅れてしまい、降車する人たちに遮られて息子の真後ろに続くことができませんでした。それでも、左手に私のスマホを握って階段を駆け下りていく姿は視界にはっきりと捉えていました。階段を降りきって、通路を右方向に向かうところまでは確認していました。
私たちの乗ってきた中央線の電車は、6番線ホームに着いていました。ホームからの階段を降りると、そこは北口と南口の改札をつなぐ通路になっていて、息子の姿は既にありません。息子の向かった右側には、1番線/2番線、3番線/4番線の二つのホームがあり、それぞれエスカレーターと階段がありました。息子の行動特性上、一人で駅の改札を出ることは考えられないため、息子の進路はこの4つに絞られることは、瞬時にわかりました。しかし、どちらのホームに向かったのかは確信が持てません。
とりあえず、一番近かった3番線/4番線ホームに上がるためのエスカレーターを(ルール違反ですが)急いで駆け上り、息子の姿を探しましたが、見当たりません。普段から、ひとりで電車に乗らないように言い聞かせてはいたので、ホームのどこかで待っているだろう、と思い、目印の黄緑色のリュックを探して、ホームの前から後ろまで往復したものの、いません。両側に発車待ちの電車が止まっていましたが、それらしい姿も見つけられませんでした。上がるホームを間違えたかと思い、今度は1番線/2番線ホームを同じように探したものの、ここにも見当たりません。「これはえらいことになってしまった...」「私が後ろから付いてきてると思って、来た電車に勢いで乗ってしまったんじゃないか...」と、冬なのに背筋に嫌な汗が流れました。
何度か、同じことを繰り返しても見つからないため、観念して駅員さんに助けを求めました。私のスマホを持ったまま、行方不明になってしまったので、妻への連絡にも苦労しました。(親切な駅員さんの好意で駅外の公衆電話から自宅に留守電を入れることができました)
相談した駅員さんには、本当に親身に対応していただきました。息子の特徴を聞き取って駅のビデオ動画を調べてくれたり、他の駅員さんに聞いてくれたり、色々と協力してくれました。中野駅は特殊な駅で、JRの中央戦と総武線、営団地下鉄の東西線が乗り入れていて、4つのホームと8つの番線があります。そして、その上り下りの電車には改札を通過することなく、乗り換えが出来てしまいます。(営団地下鉄にも)電車はひっきりなしに入ってきて、出ていきます。可能性としては、3路線x上下=6種類の向け先の異なる電車に乗り換えられます。息子は1/2番線、3/4番線ホームのある方に向かったので、中央線に乗る可能性は低いものの、総武線も東西線のどちらに向かったのだろう.... と心配になりました。
息子が電車旅の途中で駅から外に出る可能性はない、と踏んでいました。息子は、首都圏の路線図がほぼ頭に入っており、私との電車旅で使うルートは大体決まっています。私は、息子が中野駅にいないのなら、東西線中野駅始発の西船橋行きに乗ったに違いない、と確信していました。終点の西船橋駅で、JR総武線に乗り換えて千葉方面に行ったことが過去にあったことを覚えていたからです。西船橋駅での乗り換えには改札を通過する必要があるので、SUICAを持っていない(実は息子のリュックのポケットに入っているが、正確には教えていませんでした)息子は、最悪そこで立ち往生する筈... いや、それまでに父がいないことに気付いて、中野駅まで引き返してくれないだろうか..... 生きた心地がしない時間を過ごしながら、楽観的希望を考えていました。
駅員さんから「我々(JR)では打てる手が限られるので、警察に届けられては... 私から奥様に連絡取ってみますので...」と言われ、私は同意しました。駅員さんから妻に連絡を取ってもらっている間、駅員室の前で、やきもきしながら、通路を行き交う人たちを見つめていました。
その時、3番線/4番線ホームの階段から、黄緑色のリュックを背負い、左手にスマホを握ってスキップで通路に降りてくる少年の姿が目に入りました。私は思わず「〇〇!」と叫んで、駆け出しました。瞬間、右太腿裏の筋肉に痛みが走りましたが、そのまま息子に駆け寄って、頭を抱き締めました。息子は、軽く微笑んで、「会えたね..」と一言呟きました。どうやら、東西線西船橋行きに乗って大手町まで行き、引き返してきたようです。
安堵と後悔
捜索に協力していただいた駅員さんには、息子を連れて謝罪と御礼を述べ、家で心配している妻にも一報しました。中野駅からは、息子の本来行きたかったルートを旅してから、帰宅しました。
無事に戻って来てくれたので一件落着ですが、最悪の事態も想定されるような私の失態です。息子には強く言い聞かせたものの、大事件だったとは思っていないようで、あっけらかんとしたものです。私は、生きた心地がしませんでしたが、本人はちょっとした冒険を楽しんだくらいにしか考えていないのでしょう。息子を強く責めることは出来ません。
スマホを確認すると、息子が私と離れて電車に乗っていた時に撮ったと思われる写真や動画が残っていました。乗り換えた後のホームで撮ったと思われる中野駅の写真もあるので、ホームで写真を撮っている息子の姿や停車中の電車に乗っている息子の姿を、追いかけた私が見落としたのでしょう。
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妻と話し合って、行方がわからなくなった時に居場所を探索できるように、リュックにGPS機能付きのタグを取り付ける対策を打つことにしました。いずれにせよ、私の肉離れの負傷程度で済んで、本当に良かったです。
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