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『10年後を後悔しない君へ』

本日は、藤巻幸大『10年後を後悔しない君へ』(Discover 2012)の読書感想文です。

購入即読了

仕事を終えて外へ出たら、猛烈に寒さを感じました。わずかに日没時間が遅くなり、西の空には微かにオレンジの陽が残っていました。1月末期限の値引きクーポンがあることを思い出し、遠回りしてBOOK-OFFに立ち寄ることに決めました。店に入って、100〜200円本の棚から4冊の本を選んで買い、近くのファミリーレストランで食事を摂りながら、読み始めたのが、購入した中の一冊である、藤巻幸大氏の本でした。

病魔に襲われ、54歳の若さで他界した藤巻幸大氏(1960/1/5-2014/3/15)は、伊勢丹のカリスマバイヤーとして注目された後、実業家、政治家(参議院議員)とマルチに活躍した人でした。坊主頭と髭面がトレードマークで、お兄さんは、トレーダー、経済評論家、政治家としても著名な、藤巻健史氏(1950/6/3-)です。

本書は、氏が亡くなる2年前、50代の働き盛りで精力的に活動されていた2012年に出版されており、20‐30代の若い世代向けに、仕事、コミュニケーション、時間、お金、生活、人生についての自らの考えを語ったものです。

ターゲットが、20‐30代のビジネスパーソンに設定されているせいか、既に氏の亡くなった年齢を超えてしまった私には、素直に同意する部分、痛い所を突かれてドキリとする部分、そうは思わないなあ…と反発する部分が、バランスよく入り混じっていて、楽しく一気に読めました。

負け組の人間はお金を使わない

Chapter 04の最初のコラム(Money 1)のタイトルが、『負け組の人間はお金を使わない』です。藤巻氏の価値観がよく現れている内容だと感じました。

この中で、藤巻氏は、若いうちは積極的にお金を使うべきだ、という主張をされています。自分には背伸びに思えるような高価なものを身にまとったり、場違いな場所に足を踏み入れたり、思い切ってお金を使う経験をすること自体に意味があるから、という趣旨には共感する部分があります。

勝ち組、負け組なんていう言葉が一時期流行ったが、僕が思うにそれは収入がいくらだとか、社会的地位が云々ではなく、どれだけ多くの体験をし、喜びを感じられたかの差でしかない。日々何に対しても興味を示さず、死んだ魚のように感動なく生きている人こそが、真の意味での負け組なのだ。

P121

ただ一方で、自分の才覚と努力によって恵まれた境遇にまで辿り着けた人の意見だよなあ…… という意地悪い感想も持ちます。御本人が人一倍の努力(主に深くて温かい人間関係を築く為の努力)を積み重ねたという裏付けがあることは理解した上での感想です。今の日本で、お金を使うことに消極的な人が増えているように感じるのは、将来への不安が勝っているからでしょうか。

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