『日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく』を読む
今日も朝から出掛けて、長野県内をドライブしつつ、その合間、合間に読み進めて読了した、加来耕三『日本史は「嫉妬」でほぼ説明がつく』(方丈社2017)の読書感想文を残します。
羨望と嫉妬
著者の加来耕三氏は、本書で日本史上の有名な事件の真相を、人が簡単には克服できない『嫉妬」という感情に着目して読み解く、というユニークな手法に取り組んでいます。
加来氏は、嫉妬を似た感情である「羨望」とは区別して扱っています。嫉妬が発生する条件(嫉妬の力学)について、以下の四つを挙げています。
一般に、嫉妬はよくないものと考えられがちですが、加来氏は嫉妬を一様に悪いものと決め付けて断罪している訳ではありません。嫉妬の発露が原動力となって、人類や社会の成長や発展に繋がったというポジティブな面もある、と考えているようです。
名言の引用が巧み
血生臭い歴史上の事件の裏側に、当事者同士の嫉妬感情が介在したどろどろとした確執があった、と考えざるを得ない事例があるのは確かでしょう。謀叛の原因が完全に特定されているとは言えない、本能寺の変についても、織田信長と明智光秀の間に複雑な感情のもつれ=嫉妬の感情があった、という説を否定することはできないでしょう。
加来氏は、自説を補強する目的で、本書の中で多くの引用を援用していて、これらが非常に興味深いものがあります。一例ではありますが、
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