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君を幸せにできるのは 僕じゃないから

出逢った頃は

特別な感情など

何もなくて

ただ勝手に 

僕のことを気に入った君は

鈍くても気づくほど

とってもわかりやすい方法で

あまりにもストレートに 

気持ちをぶつけてくるものだから

ある時 それとなしに

素直な思いを伝えてみた

今は誰とも付き合う気はないんだ って

そうしたら

ほんの一瞬

悲しそうな顔をした気がしたけれど

すぐに納得したような表情を見せて

それからは

友達として

恋愛感情なしに

付き合ってくれるようにしてくれたんだ

だから

安心して

ほっとして

友達として付き合えると

思っていたのに

今度は

自分の方に

不思議な感情がわきあがり

その何とも言えない感情は

抑えきれなくなっていく

容姿は普通か それ以下で

勉強も普通か それ以下で

決して もてるわけではなく

一見 どこにでもいる

普通の人で

だけど

何故だか分からない魅力を発していて

それは 一度踏み込んでしまったら

二度と抜け出せないような

そんな危うさを

自分自身に

感じてしまったので

絶対に

そこから先には進まない

そう

心に誓った

お互い

フリーで

何の制限もないのに

心を防御したのはきっと

決して自分では

幸せにすることはできないと思ったのと

既に運命を共にする相手が 前から決まっているのを

そしてそれが 自分ではないことを

その時だけ敏感に

感じ取ってしまったからなのかもしれない

まだ 本人でさえ気付く訳もない

運命の誰かを

何故自分の方が 感じ取ってしまったのかは

分からないのだけれども

自分が

その存在に負けてしまうのを

認めたくなくて

防御反応がでてしまったのかもしれない

だから余計に

絶対に

これ以上は と

心に決めた

触れたくない訳など

あるはずもない

こんなにも心奪われる人を と

幾度も思った

しかし

全てを知ってしまったら

絶対に抜け出せない

だから

心だけでいい

心だけを味わえれば

それだけでいい

世の中に

この様な出来事が存在するのだろうかと

自分自身を

疑った事もあったが

それは意外にも

可能だった

それは

簡単な事ではなかったのだけれども

そうするしかなかったから

心だけの関係で

最後まで

お互い

触れることもなく

友達以上 友達未満で

いや

こんなにも特別に想っていたのは

もしかしたら

こっちだけで

相手の思いを無視して

自分で勝手に

そんな自分に

酔っていただけなのかもしれない

今でもあの時のことは

覚えてはいないのだけれど 覚えてはいて

忘れてはいないのだけれど 忘れてはいて

いや もしかしたら

夢だったのかもしれない

幻だったのかもしれない

本当はそんなこと

なかったのかもしれない

もう

覚えてくれては

いないのだろうな

思っているのは自分だけで

でも

もし許されるのなら

もう一度

あの感覚を呼び起こしたい

そしてもう一度

味わいたい

あの時の気持ちが

本物だったかどうか

自分自身を

確かめたい

絶対に

運命の誰かには

なりえないのだけれども