0428「大嫌いがふつうになった」
ただの日記です。
「自分の顔が大嫌いだったけど、ふつうになった」と、夫が言った。
夫と結婚して、今年で16年目になる。その間、夫はずっと「自分のことが好きではない」「自分の顔が大嫌い」と言い続けてきた。
生まれてから今まで一度も自分の顔がいいと感じることはなかった。けれど、最近は「まあ、悪くないかな?」「少なくとも、最低ではない」。そう思えるようになったという。
わたしは衝撃を受けた。嬉しい衝撃。
個人的に、人生における大事件といってもいいくらい。この喜びを誰かに伝えたいけれど、誰に言えばいいのかよくわからないので、ここに書く。
誰にでも、自分の気にいらない部分がひとつやふたつあると思う。とくに「顔」に対するコンプレックスというのは、なかなか受け入れがたいものだ。
ちなみに、夫は「回復思考」という資質の持ち主である。「回復思考」は、ものごとの出来ていないところに目を向け、それを本来のあるべき姿に戻す思考と説明される。平たくいうと、プラスよりもマイナス部分に注目する性質があるのだ。
その彼が、大嫌いからふつうになったって、すごいことだ。
「どうしてそう思えるようになったの?」と聞いてみる。
すると、スキンケアとメイクをするようになったからだそう。
長いマスク生活で、夫は肌が荒れるようになった。肌に何かをつける感触が苦手な夫は「髭剃りあとに保湿しないと肌が荒れるよ〜」といっても「べたべたするから嫌だ」と、スキンケらしいことは、ほぼしていなかった。
でも、今回のマスクア荒れでさすがに何かしないといけないと思ったのか、「何かケアするものが欲しい」と訴えてきた。
スキンケア・アドバイザーの仕事もしているわたしは「おまかせなさい」モード発動、いちばん肌質に合いそうなケア用品を買ってきて、こうやって使うんだよ、と使い方も細かくレクチャーした。(ケア用品は使い方もだいじ!)
夫はそれが気に入ったようで、毎日きちんとケアするようになった。
そこから男性美容家のスキンケアYoutubeなどを見るようになり(男でもスキンケアするのってふつうのことなんだね!と目を丸くしていた。)、今度はメイクにも興味が出てきた。Youtubeの影響力すごい。
メイクといっても、女性のようなメイクやビジュアル系メイクではなく、肌荒れのあとをちょっとカバーしたり、眉毛を整えたりするくらいの、いわば「身だしなみ」的なメイク。
なので、今度はBBクリームとかコンシーラーとかを買って、手順をレクチャーしたり、眉毛の形を整えてあげたりした。夫は「マリサはいつもお客様にこういうことやってあげているんだね〜」なんて笑っていたけれど、仕上がりをみてびっくりしていた。
「こんなに変わるものなんだ、女性がみんなメイクするわけだね!」
鏡をまじまじと見つめながら、嬉しそうだった。
何でもすぐにフェードアウトするわたしとは違い、夫は一度やると決めたら継続するタイプ。毎日きちんとケアしてメイクもして出かけて行っている。肌もきれいになってきた。肌の調子がいいと嬉しいよね。見た目が変わると精神的にも変化があるのは、いわずもがな。
わたしは、セルフケアは、自分を愛する行為のひとつだと思っている。「わたしはわたしのことを大切にしてる」という感覚。
(もちろん、スキンケアやメイクをしてないひとは自分を愛していないということではない。自分を愛する行為は、ひとによって違う)
個人的には、男性のスキンケアやメイクは、もはやふつうだと思う。
最近は、韓国アイドルがメイクをしていて「男性がメイクするのかっこいい」という風潮になってきているし。いいことだ。したいひとはどんどんしたらいい。
大嫌いがふつうになるくらいには、自分のことが、いまよりも好きになるかもしれない。