読書日記*死にたがりの君に贈る物語
『#読書の秋2021』の課題図書に『死にたがりの君に贈る物語』という本があって読んでみた。
知らないうちに涙が落ち、一気に読み終えた。
最初は何も情報を入れないで、ちょっと斜に構えた感想を書いてみようかと思っていたら、この作者の想いを読んでしまった。
もうただの感想は書けない。
純恋のようにファンレターを書いてみようと思う。
ただ著者が読んでくれればそれでいい。
※下記、ファンレターですがネタバレを含みます。
綾崎隼さまへ
『死にたがりの君に贈る物語』電子書籍で読ませていただきました。
今まで紙の本に付箋を貼りながら言葉をひろう形が、読書基本なわたしにとって、電子書籍は軽いタッチで読めるという概念でした。
それをあっさり破ってくれる熱量のある本でした。
2日で5時間ぐらい、読み進む手が…タップする手が止まりませんでした。
小説の中の『Swallowtail Waltz』も、きっとそんな小説なのでしょうね。でも小説の中で渦中の物語の結末はわからないままわたしは、作者に、読者に、編集者に、感動を覚えることになります。
それは一つの作品が生まれるときの、エネルギーみたいなものを感じてしまったのではないかと思います。
”未完に終わった小説の結末を探るために、廃校で生活する物語”
そんなサバイバル設定をして、登場人物たちを情報を遮断した空間に追い込み、感情をあぶり出していく。
最初は広瀬さんの目線で見えることが、なにかの伏線なのではと思いながら、反発的な彼女に違和感を覚えていました。
その想いは実現してほしくないわたしの、感情でした。
なぜ?なんのため?
彼女の絶望に泣けるのではなく、彼女の希望が見えなくなっていることに涙が出ました。
”今、こうして苦しんでいるように、物語が望まない展開を迎えたことで傷ついた人がいたんだろうか。小説は作者だけのものではなかったんだろうか?
分からなくなったら最後、何も書けなくなってしまった”
”書いたら叩かれる。きっとまた傷つく人が出てしまう。
何も書きたくない。書けない。”
そんな風にあなたが苦しんでいらっしゃるのなら、わたしは大声で言いたいです。
「わたしはあなたの小説が、これからも読みたい。」
純恋のように狂信的ではありません。
この時代に読める物語が、あると思うのです。
電子書籍で味わう令和の物語だなあと感動した古い人間から言わせていただくと、この物語は”いま”読める感動があります。
読者と作者と編集者が三位一体のような関係であることや、それを知らない人まで”知ったかぶり”ができるような物語。
それを書けるのは、あなたしかいないのではないかと、わたしは思うのです。
リラックスして、こころを平にして、ご自身が楽しめるお話を読んでみたいのです。
面白いと思っている人が、少なくともここにいます。
誰かが紡いだ物語の世界に浸れることは、わたしのしあわせです。
ただ老婆心ながら言わせていただくと、登場人物の性別について、少しだけ。綾崎隼さまはたぶん男性だろうと、この本を読みながら思いました。
優しすぎます。
女はもっと冷たい生き物です。
どろどろしたものを肚の底に淡々と抱えています。
そして生活が不自由、食料が足りない、お風呂に入れない、温度調整が難しい…たぶん1ヶ月なんて持たないかもしれません。
まあ、この時代はいろんなジェンダーがありますから、一概には言えませんが。
わたしは文章を公にすることは、多少なりとも誹謗中傷があることを理解していながら、体感がありません。
わからないとはいえ、こんなにもこころの中を体験させていただいたことに深くこころを奪われました。
そしてこんなラブレターを書かせていただく機会に恵まれ、お礼を言わせていただきます。
この本に出会えたことに、感謝しかありません。
書いていただきありがとうございました。
これから過去の作品も読ませていただきたいと思っております。
またお会いできることを楽しみに、あなたの小説を待ちたいと願っています。