📖#4 天皇に身も心もお仕えした乙女の打ち明け話『讃岐典侍日記』
▼前回はコチラ
▼最初から読みたい方はコチラ
帝は長子ちゃんに看病して欲しかったようですが、さすがの長子ちゃんも体力の限界です。
帝の精一杯の「いかないで」アピールに後ろ髪を引かれる思いでしたが、周りの人に説得されて、長子ちゃんはお休みします。
……大臣、まるで自分が看病するみたいな言い方だけど、こいつ絶対に看病しないだろうな。帝のこと、なめてるから。
どうして長子ちゃんが、帝が「大臣が来るよ」と教えてくれたことに感動しているのかというと、平安時代の高貴な女性は家族などの一部を除き、男性に顔を見せるのは、はしたないとされていたから。
御簾(ブラインド)越しだったり、扇で顔を隠したりして、男性と会話をしました。
そういうわけなので、帝は「大臣が来るよ(だから、来ても大丈夫なように準備しなさい)」と知らせてくれたのです。
自分は死にそうなのに、長子ちゃんのためを思って声を出してくれたので、長子ちゃんは感激したというわけです。
尊いご自身の命よりも、長子ちゃんのことを気遣ってくれるなんて、胸キュンポイントですねー!
胸キュンポイント2つ目。
『讃岐典侍日記』で屈指の有名シーンです。
瀕死の状態なのに、お膝を立てて長子ちゃんを隠してくれる(守ってくれる)帝。
「帝が苦しい中、私のために行動してくれた!」
これはキュンとしちゃいますよねー。
今でいうところの、傷ついてボロボロになっているヒーローが、それでも最後の力を振り絞ってヒロインを助ける感じでしょうか。
これは、いつの時代でもキュンキュンするシチュエーションですね!
単衣をかぶるのは、「衣被き」といいます。
こうすることで、「私はここにいませんよ」と表す公認のサインでした。
歌舞伎の「黒衣(黒子とも)」が舞台に出てきて、役者の補助をするけど、透明人間とみなされているのと同じですね。
……いや、見えてるけどね!!
ごそごそ動いてるの見えてるけどね!!
それは言わないお約束であり暗黙の了解。
日本には空気を読んでおくことが多いですけど、これもそうですね。
正妻と久々に会話出来て嬉しかったのか、帝は少し元気になりました。
正妻であっても、普段は同じ敷地内の別の建物に住んでいるので、毎日は会えません。
夫婦水入らずでお話し出来て、帝はとても嬉しかった様子。
こんなことを聞かされたら、愛人としては嫉妬してしまいそうですが、長子ちゃんは「帝がすっきりされたようで嬉しい」と素直に喜んじゃう。
なんて健気な!!
ずっと帝のお傍にいる長子ちゃんは、帝のお体の腫れに気づかなかったんでしょうか?
たぶん、気づいていたけれど、帝のお体が悪くなっていくのを正直に口に出すのは遠慮したのだと思います。
帝を傷つけてはいけないですし。
でも、この乳母は言っちゃうんですねー。
余計なことばかり言う人って、いつの時代にもいるんですね。
いつも具合の悪かった帝でしたが、今度こそは本当に駄目なようです。
僧侶のお祈りに効果があるかどうかは別として、帝は自分の最期を自覚していました。
長子ちゃんにだけ、弱音を伝える帝。
でも、長子ちゃんはそんな弱っていく帝に何もしてあげられません。
かなしいですね。
続きます。
▼この記事を書いた人のプロフィール
▼この記事と同じテーマのマガジン
▼大和なでしこになれるプライベートレッスン【ほんのりなでしこ】
\大和なでしこになっちゃう?/
▼Instagram・twitter
📷Instagram:@marinadeshiko
🐤twitter:@marinadeshiko