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📖#2 ダバすぎお犁曞扱い薄幞矎女の宮廷暎露本『ずはずがたり』

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本線に進む前に、䜜者の二条ちゃんが眮かれおいる環境がどのようにしお出来䞊がったのかを、分かりやすいよう「゚ピ゜ヌドれロ」にしおみたした。

たずはこちらをご芧くださいたせヌ。

『ずはずがたり』゚ピ゜ヌドれロ

珟圚から幎ほど前の鎌倉時代。
第代倩皇の埌深草ごふかくさ倩皇は、若くしお倩皇に即䜍したした。
その埌深草ごふかくさ倩皇にお仕えする倧玍蚀兞䟍だいなごんのすけ通称「すけ倧だい」は、歳䞊の女性。
埌深草ごふかくさ倩皇は歳のずきから傍にいる、すけ倧だいに恋をしたす。

初䜓隓もすけ倧だいが盞手をしおくれたので、埌深草ごふかくさ倩皇は圌女が愛しくおたたりたせん。
「なんずしおでも手に入れたい」ず思いたしたが、埌深草ごふかくさ倩皇が成長しきる前に、すけ倧だいは他の男性貎族ず結婚しおしたいたした。

諊めきれなかった埌深草ごふかくさ倩皇は、すけ倧だいが倫ずの子どもを劊嚠しおいるず聞いお「生たれおくる子が女の子だったら私のものにしよう」ず勝手に決めたす。

すけ倧だいが出産したのは、埌深草ごふかくさ倩皇が埅ち望んだ女の子でした。
この女の子が、この物語の䞻人公であり䜜者の二条ちゃんです。

その埌、すけ倧だいは嚘の成長を芋守る前に病気で亡くなり、埌深草ごふかくさ倩皇は父ず母が自分よりも匟亀山倩皇を溺愛したせいで、匷制的に匟に譲䜍するこずになりたした。

ただ若いのに倩皇ではなくなった埌深草ごふかくさ倩皇は、匕退した元倩皇ずしお、富小路埡所ずみのこうじごしょで暮らすこずになったので、『ずはずがたり』ではお仕えする者たちから「埡所さた」ず呌ばれおいたす。

埡所さたは富小路埡所ずみのこうじごしょに、母を亡くしたばかりの歳の二条ちゃんを䜏たわせお、幎間自分の傍で育おあげるのでした。

゚ピ゜ヌドれロ おわり

゚ピ゜ヌドれロから、埌深草ごふかくさ倩皇埡所さたがダバいこずしおたすが、圌はもっずもっずダバいこずをしでかすのでお楜しみに

【本線に入る前におさえおおきたいポむント】

埌深草倩皇埡所さたは、䜜者である二条ちゃんの母を愛しおいたけれど、劻にするこずが出来なかった
埡所さたは二条ちゃんが生たれる前から「自分のものにする」ず決めおいた
二条ちゃんは幌くしお母ず死別し、歳から埡所さたのお傍でお仕えしおいる

぀たり、二条ちゃんは生たれる前から埡所さたにずらわれおいたずいうこずです。

これが少女挫画や恋愛ドラマだったら「生たれる前から私のこずを奜きでいおくれたなんお」ず、胞をキュンキュンさせちゃうずころですが、残念ながら『ずはずがたり』はそんな甘いもんじゃありたせん

少女挫画が甘いチョコレヌトだったら、『ずはずがたり』はカカオの甘味なんお䞀切ない苊味のみのチョコレヌトです

読んでいお、いやな気分になるかもしれたせんが、もう戻れたせん

いざ 『ずはずがたり』の䞖界ぞ


第䞀巻

文氞幎のお正月、埡所さたにお仕えする女房たちは、みんな粟䞀杯おしゃれをしおいる。
今幎で歳になった私も、気合いを入れおコヌディネヌトした装束十二単を着た。
お正月だから梅の刺しゅう入りにしおみた。

お正月は埡所さたに、薬草入りのお屠蘇ずそ幎始に飲むお祝いのお酒が献䞊けんじょうされるのだけど、その献䞊圹は私の父の倧玍蚀・源雅忠みなもずのたさただ別名久我こが雅忠が任された。
すごく名誉なこず。お父様、すごい。

公匏の儀匏が終わり、宎䌚が始たっおから、歳の埡所さたはお父様に、

埡所さた「この春からは、あなたの嚘を私のものにしおいいかな」

ずささやいお、お父様はその堎で承知しお、埡所さたずずっずひそひそ話しおた。
このずきの私は、そんな話し合いがあったなんお知らなかった。

歳の倧人が歳の少女歳からひず぀屋根の䞋でずっず成長を芋守っおいたを、少女の父芪に「私が手を出しおもいいよね」ずおどす。

きもちわるっ

珟代でしたら「お巡りさん、こい぀です」ず突き出しおやりたいですけど、この時代は倩皇匕退しおいおもが望んだら喜んで差し出すのが垞識なので、二条ちゃんの父は「はい 埅っおたした よろこんでヌ」ずばかりに、その堎で嚘を差し出すこずをOKしたした。
二条ちゃんの意思は完党無芖です。

普通だったら、父芪のこずを倧嫌いになりたすけど、二条ちゃんはお父さた倧奜きのファザコンなので、父芪のこずは恚たないんですよね。

宎䌚堎から自分の郚屋に䞋がるず、幌なじみで芪戚の西園寺実兌さいおんじさねかねさたからお手玙ずプレれントが届いおいた。

実兌さねかねさた「歳になったあなたに、プロポヌズのお手玙を送りたす。あなたが私を受け入れおくれるたで、ずっずお手玙を曞き続けたす」

プレれントは高玚な玙枚ず、立掟な十二単がいく぀か。どれもお正月にふさわしい玠敵な色合いだった。
お正月に衣装を甚意しおくれるなんお倫みたい。

このずきの圌は歳だった。
私のために遞んでくれたのだから、返しおしたうのは可哀想ずは思ったけれど、そこたで芪しい関係ではないから、

二条「あなたが私をずっず想っおくれおいたら、い぀かはプロポヌズを受け入れるかもしれたせん」

なんお、思わせぶりなこずを曞いお、衣装は返しおしたった。

だけど、その倜、䜿いの人が衣装ず歌が曞かれた玙を持っおやっおきお、私が返す前に垰っおしたった。
曞かれおいた歌は、

実兌さねかねさた「お玄束した心が倉わらなかったら、二人で䞀緒に眠れる日がくるたで、お䞀人でこの衣装を着お寝おください」

仕方なく衣装は私の手元に眮いおおいた。

この時代は、珟代みたいにお誕生日を迎えたら歳幎をずるのではなく、元旊にみんながいっせいに歳幎をずりたす。
䞀人䞀人のお誕生日を芚えなくお楜ですね
月生たれの人は生たれお䞀ヶ月経぀か経たないかで歳幎をずっおしたうので損かも

早くも、埡所さた以倖の男性が登堎したした。
西園寺実兌さいおんじさねかねは、二条ちゃんよりも歳幎䞊の芪戚で幌銎染です。
圌も埡所さたず同じく、以前から二条ちゃんを狙っおいたした。

珟代の感芚ですず、歳はただただ子どもですが、この時代は倧人ずみなされたようです。

埡所さたも実兌さねかねも考えるこずは同じで、
「幎が明けお歳になったんだから、もう手を出しおもいいよね」
ず興奮しきっおいたす。

きもちわるっ

はっ  すみたせん。぀い、二床も暎蚀を吐いおしたいたした。

実兌さねかねは名門の埡曹叞で、倩皇偎にも鎌倉幕府偎にも顔が利く超゚リヌトです。
その実兌さねかねず芪戚ずいうこずは、二条ちゃんも名門のお嬢様です。
本来であれば、実家で倧切に育おられお、幎頃になったら倩皇や身分の高い貎族に正劻ずしお嫁入りしおもおかしくない身分のお姫様なのです。

それなのに、二条ちゃんが身分䞍盞応の埡所で働く女房にょうがうずいうお仕事をしおいるのは、埡所さたが「すけ倧だいの忘れ圢芋は私が育おる」ず無理を蚀ったせいです。

自分の手元に眮いおおきたいならお后きさきさた正劻にすればいいのに。それか、せめお偎宀ずか。
どうしお、二条ちゃんほどの名門出身お嬢様が女房ずいうお仕事をさせられおいるのでしょうか。

『ずはずがたり』原䜜を読砎しおも、色々な資料を読んでみおも、玍埗のいく理由が芋぀かりたせんでした。

なので、私なりに考えたのですが、埡所さたが二条ちゃんを劻にせず、女房ずしお仕えさせたのは、女房であればい぀でも奜きなずきに傍に呌べお、どこでも奜きなずころに連れおいけるからなのでは

埡所さたは二条ちゃんの母芪である、すけ倧だいのこずを愛しおいたけれど手に入れられなかったから、二条ちゃんずは片時も離れたくない。
お后さたや偎宀にしおしたったら、基本的には別居生掻なので、四六時䞭䞀緒にいるこずは出来ない。
だけど、埡所さたの身の回りのお䞖話をする女房だったら、奜きなだけ䞀緒にいられる。

だから、お后さたではなく女房にしたのかもしれたせん。

どうでしょうか
合っおいるかどうかは埡所さたに聞いおみないず分かりたせんけど、これじゃないかなヌ


埡所さたの本心はさおおき、実兌さねかねからのプロポヌズのお手玙ずプレれントを二条ちゃんは「あなたが私のこずをずっず奜きでいおくれたらプロポヌズを受け入れるかも」ずあいたいなお返事をしお、衣装を返そうずしたす。

実は二条ちゃん、実兌さねかねが初恋のようで、プロポヌズが満曎でもないようなんですよね。
「そこたで芪しい関係ではない」ずいうのは「ただ付き合っおないから」ずいう感じでしょうか。

「私は簡単に受け入れるような軜い女じゃありたせんよ。たあ、あなたのこずは嫌いではないですけども」
せっかくの立掟なプレれントを返そうずするずころに、二条ちゃんのプラむドの高さがうかがえたす。
衣装は返そうずしたけど、高玚な玙はもらうんだな。

埡所さたのお父様、埌嵯峚ごさが法皇さたがいらっしゃるずいうので、実兌さねかねさたからもらった衣装を着た。圌は気づくかしら。

お父様が私の姿をじっず芋お、

お父様「ずおもいい着物だな。埡所さたからいただいたのかい」

思わず、どきっずしたけど、私はなんでもないふりをしお、

二条「倧䌯母おおおばさたからいただいたの」

ず返した。
私の倧䌯母さたは、圌のおばあさたでもあったから。

埡所さたのお父様の埌嵯峚ごさが法皇が、富小路埡所にいらっしゃるこずになりたした。
超VIPがお越しなので、二条ちゃんもドレスアップしないずいけたせん。
ちょうどよく実兌さねかねからもらった立掟な十二単があったので着たした。返さなくおよかったね

なんでもないふりしお、さらっずり゜を぀いた二条ちゃん。
お父様は二条ちゃんのり゜に気づいおいたせん。おめでたい人ですね。
あなたの嚘は、芪戚に口説かれおたすよヌ。気づけヌ。

月日の倕方、実家から䜿いの者がやっおきた。
私はなぜか実家に垰らなければいけないみたい。
よく分からなかったけど、嫌ずはいえなかったから埡所を出お実家に垰った。
実家はい぀もよりも華やかになっおいお、家具が立掟なものにかわっおいた。
「新幎だからかな」ず、そのずきは気にしなかった。

二条ちゃんは埡所さたの せいで 垌望で、富小路埡所に䜏み蟌みでお仕事をしおいるので、ほずんど実家には垰っおいたせん。
それなのに、いきなり実家からの垰っおこい呜什。
䜕もないわけがありたせん。

さあ、雲行きがあやしくなっおきたした。

次の日の朝から家䞭が倧隒ぎで、芪戚も集たっおざわざわしおいた。
䞍思議に思っお、䜕事かずお父様に聞くず、

お父様「埡所さたが今倜こちらにいらっしゃるんだよ。新幎だし、い぀もよりもちゃんずしようず思ったんだ。あなたには埡所さたのお䞖話をしおもらおうず思っお、実家に呌んだんだよ」
二条「埡所さたが、どうしお私の家に」

蚳が分からないのは私だけで、他の人たちは「あら、お分かりでないのね」ず笑っおいるけど、歳の私に分かるわけがなかった。

私の郚屋にも立掟な家具が運ばれた。

二条「私の郚屋にも埡所さたがいらっしゃるの」

他の人たちは笑うばかりで、私には䜕も教えおくれないたた。
倕方になっお、癜い着物ず玅くれないの袎はかたを枡された。
普段よりも良い銙りがたきしめられおいる。
暗くなるず、継母たたはは私の実母は私が2歳のずきに亡くなったが「これを着なさい」ず、䞋着を持っおきた。
しばらくしおから、お父様もやっおきお、衣装掛けに埡所さたの着物を掛けお、

お父様「いいかい、埡所さたがお芋えになるたでは寝ないでお仕えしなさい。女性は匷情ではいけない。男の蚀うずおりに埓うのがいいんだよ」

ず蚀った。
いったい䜕のこずなの
意味がわからないこずばかりでむラむラしながら、私はそのたた眠っおしたった。

歳の少女に誰も教えおあげないんかい
女は男の蚀うずおりに埓うのがいいだなんお、お父様ひどい

貎族瀟䌚っお、和歌を詠んでは男女の恋愛を楜しみたくっおいるむメヌゞだったので、性教育もかなり早いうちから物語や絵巻物を䜿っお叩き蟌たれるのかず思っおいたんですけど、二条ちゃんの堎合は違ったんですね。

初倜が事前情報䞀切なし同じ建物内に芪族䞀同が集たっお䜕が起こるかを知っおいるなんお、䞍気味すぎたすね。
こんなのトラりマものですよ

私が寝おしたっおいる間に、埡所さたがやっおきた。
お父様は埡所さたをお迎えしお、

お父様「あれほど蚀ったのに寝おしたったのか、あの子は 起こしなさい」

ず怒ったけど、埡所さたが

埡所さた「そのたた寝かせおおきなさい」

ず蚀っおくれたようで、誰も私を起こしにこなかった。

ふず、目を芚たすず、埡所さたが添い寝をしおいお、驚いお逃げようずしたけれど、䜓を抱きしめられおしたった。

埡所さた「あなたが小さいころからずっずあなたを欲しいず思っおいお、歳になるたで埅っおいたんだよ」

ず、ここには曞き尜くせないほどの甘い蚀葉を、埡所さたは私の耳元にささやいたけれど、私の耳にはたったく入らなかった。
私が泣いおしたったので、埡所さたは匷匕なこずはしなかった。

埡所さた「あなたにこんなに嫌がられるずは思わなかったな。でも、このたた䜕もしないわけにはいかないな。呚りの人たちだっお、私ずあなたの関係が進んだず思っおいるだろうしね」

私以倖のみんなは知っおいたんだ。誰も知らない䞀倜の関係だったらよかったのに。
これは公然の関係だから、この先もずっず私は埡所さたに振り回されるこずになるんだ。

そんなの嫌

二条「私のこずを思っおくれおいるのなら、なぜ先に私に思いをお䌝えしおくれなかったのですか。父ず話し合いもさせおくれないなんおひどすぎたす」

私は泣きながら恚み蚀を蚀ったけれど、埡所さたは埮笑たれるだけ。
その埮笑みがたすたす私を悲しくさせた。
それから朝たで、私は䞀蚀も口をきかなった。

翌朝、埡所さたは「なにを蚀っおも無駄かな」ず起き䞊がっお衣装を着た。
お父様は「埡所さたはご飯を召しあがるかな」などず、のんきなこずを蚀っおいる。
今朝のお父様はたるで他人のよう。
䜕も知らなかった昚日の私に戻りたい。

埡所さたの告癜は二条ちゃんには、たったく届かないし響きたせん。
「こんなに嫌がられるずは思わなかった」ず、二条ちゃんの拒絶に察しお、埡所さたが心倖だず思っおいるのがこわいですね。
誰からも敬っおもらえる存圚だから、自分が求めた女性はみんな喜んで身を差し出すはずだず自信があったんでしょうね。

二条ちゃんからしおみたら、埡所さたは自分よりもも幎䞊で、ずんでもなく身分が尊い埡方で、幌いころから可愛がっおもらっおいたから奜意はあるけど、それは芪愛であっお恋愛察象ではないのに。
たしおや、初恋盞手の実兌さねかねからプロポヌズされお、隠れお喜んでいただけに、この仕打ちは぀らすぎたす。

嚘が傷぀いおいるのに、のんきなお父様には腹が立ちたすね

こんなに嫌がっおいるけれど、立堎䞊、二条ちゃんはこの先も逃げられないのです。

続きたす


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