📖#2 千年前の和風シンデレラストーリー『和泉式部日記』
↑の続きです。
香りで声で最愛の人を偲びたい
少年は顔を見せに来ただけではありません。
今の雇い主である弟宮様(敦道親王)のメッセージとプレゼントを和泉ちゃんに届けに来たのでした。
そうです。今度は弟の皇子が和泉ちゃんを狙ってるわけです。
二人の皇子から惚れられる和泉ちゃんすごい!!
ロマンティックが走り出しそうな展開ですが、その前に、一つ突っ込みます。
少年、お前、なんで「いつも行ってます」って嘘ついた?
和泉ちゃんは、長い間姿を見せなかったって言ってるのに、なんで堂々と嘘ついてるの?
嘘つき少年のことはさておき、橘の花を見て和泉ちゃんが思い出したのは、こちらの有名な歌。
橘の花は白くて小さいのですが、柑橘系のいい香りがします。
今もオレンジやマンダリン、ベルガモットなどのシトラス系のフレグランスは人気ですよね。
平安時代も柑橘系の香りは大人気で、着るものに焚き染めていたのでした。
この歌をさっと思い出し、「橘の花の香りで、兄宮様のことを偲びましょうって、おっしゃっているのね」と気がついた和泉ちゃんはさすがです。
橘の花を見て何も思い浮かばないような教養不足だと、皇子との恋は出来ません。
「私は香りではなく声で、亡き兄宮様を偲びたいの」と返した和泉ちゃん。
これはなかなかのテクニックですね。
普通だったら「うれしいです! 私も花橘の香りで亡き兄宮様を思い出しました!」と皇子に同調しちゃうところですが、それをかわして「私は声です」と言ってしまえるところがかっこいいです!
なんでホトトギス? というと、これも有名な歌がベース。
これもすぐに思い浮かばないと駄目なやつです。
教養の高い人同士の特別なバトルですね。
ちなみに、弟宮様は和泉ちゃんよりも3つ年下の23歳。
亡き兄宮様は和泉ちゃんよりも1つ年上でした。
私と兄は同じだから恋人にどう?
焦らしテクです! さすが! モテる女は違いますね!!
イケメン御曹司からLINEが来たら、普通は即返信しちゃいますけど、和泉ちゃんは敢えてしません。
相手に興味を持たせるんですね。余裕の構えです。
それにしても、この弟宮様「兄様も私も同じ声だよ。だから、私の恋人にどう?」という想いをさりげなく込めていて抜け目がないですね。
(兄さんと一緒だから俺にしなよって、自分で言っててむなしくないのかな?)
「お前は今日一日かもしれないけど、私は毎日ずっと嘆いているからな!」と返した和泉ちゃんお見事!
簡単にはなびかないのが恋愛上級者の平安女子ルールです。
続きます。
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