小説 あの日からずっと 2
余命宣告は突然だった
目の前が暗くなって気を失って__、意識を手放す直前、泣きじゃくるお母さんの声が聞こえたような気がした。
目覚めたとき私は白い天井の下にいた。
ピッピッと規則的になる電子音と手につながれた点滴を見て病院に来たということ、倒れたということを実感した。
ごにょごにょとカーテンの向こうから声が聞こえた。
それはすぐにお母さんとお父さんによるものだとわかった。
「あの子には、千夏には言わないで上げてください……。余命が残り1か月なんて……!」
(え___?)
衝撃の事実が聞こえてきた。
頭の中はぐちゃぐちゃで私は立ち上がろうとした。
その言葉の真意を確かめるために。
でも私は自分の足が動かないことに気が付いた。
「千夏?!」
両親の焦ったような驚いたようなそんな声が聞こえた。
動かない足、余命、点滴、病院__。
そんな十分すぎる要素を頭なのかで反復した。
(私、死ぬんだ。)
それはとてつもなく怖いことで目から涙も止まらないのに頭の中だけがさっきと違って冷静だった。
そっか。
死ぬのか。
泣きながら
涙をこぼしながら
私は笑っていた。