高石真梨子のお耳のトリセツvol.1 ~どうやってみんなの話を聴きとっているの?|2024.立春・黄鶯睍睆
■ 黄鶯睍睆(うぐいすなく)
・倉敷のおいしい「うぐいす餅」情報を募集しています。
1月のはじめにnoteで「餅が好きだ」と公言して以来、いろんな人たちから美味しい餅情報をいただける日々。この世界には、わたしが思っていた以上に餅好きな人間が多く生息しているということを知って、今少し大きな気持ちでいる。
お餅のモチモチとした食感が好きなので、もれなく平たい麺とか求肥とかも好きで。そうそう。今の時期は、うぐいす餅なんてものがあるじゃないですか。あの、ほんのり甘いきな粉のまぶされたお菓子はなんであんなにも美味しいのでしょう。
そんなことを考えながら迎えた、黄鶯睍睆(うぐいすなく)。先日手話通訳者さんとお話ししていたら、倉敷のまちではちょうど「備中あんたび2」なるイベントが開催されていると教えてもらった。
車はおろか免許さえ持っていないわたしは、常に自転車移動なので、これを機においしいうぐいす餅を求めて和菓子屋さん巡りをしたい気持ちの今日この頃。
・うぐいす餅を食べながら夏鶯のように凛とした情報発信者を目指そうかしら……なんてのんきな人間ですよわたしは。
「ホーホケキョ」
と鳴くウグイスにわたしは出会ったことがあるのだろうか、と思う。まぁ、本物のウグイスの鳴き声に出会っても、気づかずに通り過ぎてしまうような気がするのだけれども。
なんせ、わたしは聴覚障がいがあって。鳥の鳴き終えのような高くて澄んだ音を聴きとることは、大の苦手なのだ。
それでも、ウグイスと言えば初夏をイメージできるのはアニメや自然系のドキュメンタリー番組で、春先から初夏の山や川の背景と共に字幕のテロップと共に目にしたことがあるからで。
そんな「ホーホケキョ」のテロップ背景とはチグハグな曇天とうぐいす餅を見比べては、不思議な気持ちになりながらモグモグすること早30年。あるお茶のおけいこの日に
「うぐいす餅ってなんで初夏じゃなくて今売ってるんですかねぇ」
と呟いたら、先生が笑いながら
「この時期は、黄鶯睍睆(うぐいすなく)って言うじゃない。
この鶯はね、鳴き始めの時期を指すのよ。
2月の鶯はまだ泣くのが下手くそでホーホケキョなんて言えないのだけれどもね、新緑が美しくなるころにはまた夏鶯っていう素敵な季語がやってくるわよ」
と教えてくれた。
なんとまぁ。うぐいす餅の鶯はまだ青臭さがあって「ホーホケキョ」の鶯は立派な大人ということなのか。
まだまだ、上手く鳴けない鶯は、活動を模索している地域おこし協力隊になってまだ3ケ月目のわたしのようで。「今日はなんだかうまく書けないなぁ」という日も、地道に書き続けていればいつか夏鶯のようにスラっと文章が書けるようになるのかしら。
なれたらいいな。と願を書けるように、今日も明日も文章を書いていきたい。その傍らにおいしいうぐいす餅があったら最高だろうな。おいしいうぐいす餅情報、お待ちしています。
それでその、「鶯の鳴き声も分からない」というあなたの聴覚障がいってどんなものなのよというところを、今回のnoteで少し言語化してみました。以下もぜひ読んでやってください。
■ 高石真梨子の聴覚障がいについて ~どうやって話を聴きとっているの?
・わたしは、生まれつきの感音性難聴です
わたしは両耳とも難聴です。右耳は生まれつき全くきこえません。小さい頃は0歳の頃におたふく風邪に罹ったからだろうと言われていましたが、大学生の頃にMRI検査をしてみた結果、聴神経がほとんど見えなかったので、おそらく生まれる前から全くきこえないのだろうと診断されました。
左耳は、年を重ねるごとに聴力が低下しています。幸い、補聴器との相性は良いほうなので、補聴器を活用しながらコミュニケーションを取ったり音楽を楽しんだりしています。イマドキの補聴器はiPhoneとBluetooth接続するので、わたしのiPhoneにもSpotifyが入っているのです。えっへん。
聴覚障がいのタイプは、大きく3つ。
わたしは両耳とも感音性難聴なので、補聴器を付けても音はひずんできこえます。「ひずむ」とは周波数によってきこえ方が全く異なる状況でわたしの場合
という音が
のように所々きこえたりきこえなかったりして届いています。
・補聴器で聴きとれているのは4割くらい
補聴器を付けてもこのまま音が大きくなって耳に入ってくるだけなので、音として認識できるようにはなりますが、言葉として聴き取れるかというと微妙なところです。
先日、倉敷市役所の職員さんとおこなった実際の聴力検査の結果は以下の画像の通りです。
周りの人たちからも「想像していた以上に聴き取れていなくてびっくりした」と言われます。
・聴き取れなかった情報は、口の形を読み取っています!といっているけれども……
それでも。わたしは相手の口の形を読み取ることができるので、口の形を見せてください!とお願いしています。実際、それで半分くらいは話が掴めるようになっています。(集団の場合)
じゃあ、あとの5割は?というと、もともと知っている相手の情報から推測してお話をしていることが多いです。だから、わたしの思い込みによっては全然違うように話を解釈していることもあったりして。
素っ頓狂な返事をしているときは想像だけで話を描いているし、ニコニコしているときはたいていわかったフリをしているので、都度「こんな話をしているよ」と教えていただけると、とても助かります。
・聞き返せるのは信頼している証拠
ありがたいことにわたしの周りは優しい人であふれているので「分からなかったらいつでも聞いてね」と言ってくれる人がとにかく多いくて。とってもありがたい。
でも、でも、正直なところ常に分かっていないので「分からなかったら」と言われてしまうとその場面をどう選んだらよいのか分からなくなってしまって、結局何も聞けないのです。それに、みんなが楽しそうに盛り上がっているときに「何の話?」と話をへし折るわけにもいかないし……。
と、実はウジウジさんです。
それなので、わたしが「ごめん、分からなかった!」と正直に言える相手は「この人なら聞き返しても大丈夫!」と信頼している人だけ。だから、わたしが聞き返したときは申し訳なさそうにするのではなく、喜んで話の内容を教えてくれると、とってもとっても嬉しいです。
・それでもわたしは、おしゃべりが大好きです
見えない・聞こえない・喋れないの三重苦があったヘレンケラーをご存知でしょうか。彼女はこの三重苦のうちどれかひとつを神様が解放してくれるのならば、迷わず「耳がきこえるようになりたい」と言ったとのことです。
このnoteの読者のかたは薄々気づいていると思うのですが、わたしはおしゃべりが大好きです。相手の話をきくことも、自分のことを話すことも。
だから、わたし自身が誰かと繋がりたくて。そして、障がいのある当事者たちが人と繋がれる機会をもっと作りたくて。そんな大きな野望を抱いて、情報発信をミッションとする地域おこし協力隊になりました。
■ 「高石真梨子のお耳のトリセツvol.1」をどうぞよしなにお願いします。
これからも不定期にですが、このシリーズを更新していく予定です。
コメント欄、各SNSのDMを開放しているので「こういう時どうしているの?」はなんでも聞いてください。
お耳のこと、きこえのこと、今使っている支援サービスのこと……わたしにとっては当たり前のことなのでついつい「察して!」と甘えてしまいがちだけれども。このnoteでは、音の世界の人たちにとっては新鮮なことたちを、ちゃんと言語化して紡いでいきたいと思っています。
どうぞ、よしなに。