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マレーシアでルー語を話す私:2021年9月30日(世界翻訳の日)
先週末は久しぶりに首都クアラルンプールに出かけた。
KL Sentral駅は以前のように大きな声で集まって話す人々や駅構内で歌を披露する人もおらず、行き交う人はいるのに静かだった。
マレーシアでは日本人も一定数暮らしていることもあって、街中で日本語が書かれた看板を見かけることも多い。
ただ、日本語の訳がおかしいことも多く、単語を繋げただけで意味が不明だったり、動詞の能動と受動の使い方が誤っていたりする。
今回KL Sentral駅直結のショッピングモール内でも、日本語の壁アートを見つけた。
「猫モンスター」。
ゴジラをモチーフにした猫のデザインだったのだけれど、ゴジラは日本では「怪獣」に分類される。
猫は日本語でモンスターは英語だ。マレーシアでも2つの言語をちゃんぽん(ミックス)することもあるのか、とちょっと笑ってしまった。
9月30日は世界翻訳の日。キリスト教の聖職者・神学者で、聖書をラテン語訳したことで知られるヒエロニムスの没日にちなんで制定された。翻訳家など言語の専門家の仕事に敬意を表する機会とすることが目的だそうだ。
マレーシアで働いていると、職場では3つの言語が飛び交う。
日本語、英語、マレー語の3つで、私が同僚や上司と会話するときは英語もしくは日本語、マレー人同士はマレー語で話している。
中華系の同僚は中国語も話すことができるので合計4つ、家族や同じ中華系の人とは中国語で会話し、職場では日本語、英語、マレー語のいずれかを相手によって使い分けている。
彼らはきっと頭の中で常に自動翻訳が働いていて、1つの言葉に対して2つや3つ、4つの翻訳を同時にしているのだろう。
英語で精一杯の私にとっては、頭の回路がどう繋がって3つも4つも言葉が話せるのか?といつも不思議だ。
そして、職場では「猫モンスター」と同様に、私も言葉をちゃんぽんして使うことがある。
マレーシア人の同僚や上司に日本語で説明をするときに、日本語の熟語で言うと伝わらないのではないか?と思ったときは英語を混ぜるのだ。
日本語にはひらがな、カタカナ、漢字があって、同じ発音をする言葉でも、漢字で書くと違う意味になるので、特に会議で発言するときなどには誤った意味が伝わらないように気を遣う。
例えば、「公開(こうかい)してください」。
こうかいは「後悔、航海、更改」等といった同音異義語があるので、話の流れから大丈夫だとは思っても、一応「Publishしてください」と言い換えたりする。
…このままでは私はルー語の話者になってしまう。
ルー大柴さんが使いこなすルー語は、日本語の単語単語を、いい加減な英語に訳した話し方だ。
日本人同士でルー語で会話すると、ちょっと変な人と思われるかもしれない。
ただ、日本語を母国語としない外国人と日本語で話すときには、相手との共通の認識を持つうえで、ルー語は結構役に立つことが多い。
翻訳は他の言語に言葉を訳すことと、符号やわかりにくい言葉、特殊な言葉などを一般的な言葉に直すことを指す。
私にとってのルー語は、マレーシアで日本語の仕事をする上で不可欠だ。