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私を今・ここに置いてくれる絵画の力について
マインドフルネスでいるための方法は、いろいろあると思っていて、カギは身体を使うことだと思います。
なぜなら身体はいつも今・ここですから。それを利用する。
その意味で、自分にとって合いそうなものを見つけるというのはいいと思います。
これをやると落ち着くのよねっていうやつです。集中や瞑想状態を作りやすくなるようなものですね。
もちろん、瞑想そのものがその最たるものではあると思います。
私が最近興味があるのが、絵画です。特に抽象画。
フランスの現象学者のミシェル・アンリは、画家のカンディンスキーの絵画理論を引用しながら、抽象画について考察しています。そこでアンリは、あらゆる絵画は抽象絵画に含まれると言っています。
私が抽象画に惹かれる理由、とくに、この絵は好きだなと思う絵というのは、自分を今・ここにとどめてくれる、といいますか、今・ここに置いてくれる、そのような絵画です。私を stillness(沈黙) の世界に置いてくれるようなイメージです。
写実的で具体的な絵だと、それが起こりにくいというのはあると思うのですが、色の使い方によって変わるのかなと思います。そして上に書いたように、あらゆる絵は抽象画だとアンリは言っています。
具象画だと、例えば、りんごが描かれている絵だと、りんご一般を指す行為として「あ、りんごだ」と言葉にしてしまうんですね。
口に出さなくても、りんごの絵だと認識する。
志向性の働きにより、心は外にとび出していく。
これが抽象画だと、言語化・イメージ化がおこりにくいので、外に行かないで内にどめてくれる力が発揮されやすくなるように思います。
その時に、自分の内側と絵画との相互作用的なものが引き起こされることがあって、そこには言葉は存在しない。
心はとても静かです。
それと色の持つ力というのも、実はものすごいものがあるように思います。私たちの日常は色であふれかえっているので、その潜在力に気づきにくいように思うのですが、例えば、マーク・ロスコーのカラーペインティング、あの色だけの大きな絵画は、その絵画を見ている私を、その場にただ居させてくれる、そんな包容力のある空間・環境を与えてくれるものだと感じます。
心が内側にとどまっているということは、セルフトークも止まりやすくなって、私たちのもっと深いところに届くものがあるような、そんな気がします。