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この人より長く生きよう。それが"愛"だと気付くのに、そんなに時間はかかりませんでした。



あなたは、誰かを愛したことがありますか?




私にも一度、
「ああ、これが愛するということか」と思った人がいます。




恋愛は得意ではなかった私。


好きになってくれる人は、
ありがたいことにこれまで何人か居て

「単純に顔がタイプ」
「誰にでも優しいところ」
「いつも笑顔なところ」

今となっては
そんな所を見ていてくれて、ありがとう。
きっかけがなんであれ嬉しい。
と素直に受け取れるのかも知れないですが、

当時の私は、その言葉を貰っても嬉しくなかった。
嬉しく感じれなかった。というのが正しいかもしれません。

私の何を知っているんだ。
私と深く関わったらイメージと違うってなるんでしょ。
と素直に受け取れずにいました。



本質を見抜いた、彼。


「いつも笑顔で頑張っててそれも素敵だけど、無理して笑うことないんよ」

バイト先の仲の良い友人だった彼が、ふと送ってきたメッセージ。


「え…。」


それまで病気のこと、家族のことは何ひとつ話したことは無かったはずなのに。

当時の私は、まだ体調的にもしんどかった時。
それでも、笑顔でいることは私のスイッチとなり、その時の私を支えてくれていたし、その方が、いくらか楽だった。

だから、彼の言うように常に笑顔で穏やかでいた。

自分でも上手いように"演じられていた"と思っていたのに
まさか見抜かれているとは。


今覚えば、ここで既に彼に"恋"をしていたのかもしれません


その後、初めて2人で飲みに行くことになり
彼の言葉に甘え、スイッチOFFの状態で会った。


ごはんを終えた後も話は尽きず、駅のベンチでひたすらに話した。

終電が無くなっても。


お互いの過去の話。
お互いの家族の話。
今の自分を作り上げているもの。
そして、その時の感情。


1回目のデートでこんな話をすることになるとは思ってもいなかったけれど、
自然に、聞いてほしいと思った。

聞きたいと思った。


一通り私の話を聞いた彼は、泣いていた。

そして、続けて彼も自分の話を話し始めた。


彼が私の本質を見抜けたわけ、
彼もまた同じように過ごしてきたことがあったからだ。



私以上に苦しい過去を持ち、
それでもなお、前を向き続け努力している彼を尊敬した。


普段はおちゃらけてふざけていた彼。
それは彼が彼自身を守るための鎧だった。

愛おしいと思った。


早くに大切な人との別れを経験した彼を見て、
"この人より長く生きよう”と思った。
もう彼にサヨナラを言わせたくない、と思った。

今まで誰にも涙を見せずひとり耐えてきた彼を見て、
"この人を幸せにしたい”と思った。
この人が安心できるくらい強くなろう、と思った。


友達から好きな人になった。


好きな人から愛している人になった。



その後、私たちは半年付き合った。



別れの理由はすれ違いともつれ。あとお互いの未熟さ。

別れのきっかけは彼だった。
けれどきっと私もそれまで彼に沢山負担をかけてしまっていたのだ、
と今になって後悔と共に思う。



今まで付き合った人の誰よりも短かったが、
誰よりも好きで、誰よりも愛していた。


出会いがあの頃でなかったら、
今の私だったら、
もっと沢山話せばよかった、
もっと彼の言葉を聞こうとすればよかった、

そんな後悔が今も度々押し寄せるが、
すでに起きてしまったこと。もう戻ってくることはない。


彼と出会えたこと
確かに彼と過ごした時間があること
世界一幸せだったこと


それだけで、
私の人生、割と素敵じゃないか。


誰かを心から愛したこと。

それがあなたでよかった。






この話がフィクションかノンフィクションかは、
あなたの想像にお任せします。

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