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クラシック音楽家のためのセルフマネジメント・ハンドブック

以前の記事でも少し触れた『クラシック音楽家のためのセルフマネジメント・ハンドブック』の日本語版が、ついにアルテスパブリッシングより発売となりました!


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↑著者のベルンハルト・ケレスさん(左)とベッティーナ・メーネさん(右)

お二人とは、インスブルックで働いていた時に親しくなった音楽家の友人の紹介で出会いました。ベルンハルトはウィーン・コンツェルトハウスのCEO兼芸術監督、ベッティーナはドイツ・カンマーフィルハーモニー管弦楽団のアーティスティック・ディレクター、そしてコンツェルトハウスの企画部門主任を努めた、クラシック音楽界の「ザ・トップ」を知る方々。私はその頃、6年間の海外生活に区切りをつけ、帰国、再出発、全てが手探りな時期でした。お二人には幾度もあたたかい言葉をかけていただき、どれだけ励まされたか分かりません。

この本は、そんな彼らの豊富な経験をもとにした、とても説得力のある一冊です。私は執筆中 (英語版は2017年に出版されています) からアイデアを聞かせていただいたり、ベルンハルトがクラシック音楽界のリーダーシップ論を企業向けにレクチャーする際のデモンストレーション役として出演したりする中で、多くを学びました。今一度読み直してみて (後藤菜穂子さんの日本語訳が本当に素晴らしいです) 、私自身、書かれていることを全て実践できているとは言えませんが、自分の活動を自分で責任をもって創造していくことの大切さ、また、そこに新たな可能性と希望を見出し、行動する勇気を与えてくれました。

私がこの本で一番素敵だと思うのは、いわゆる一般的に「超一流」とされる型だけに音楽家たちをはめ込もうとせず、多様性を尊重し、個性と自由な発想を実現させるための、実践的で具体的なアプローチの方法が書かれている点です。それは、音楽家としての在り方にとどまらず、その人その人の生き方を心から前向きに応援し背中を押してくれる、彼らの尊い人間的姿勢が反映されていると感じます。そしてそれは、著者のお二人自身が、深く音楽を愛し、音楽に真摯に向き合う音楽家たちに最大の敬意を感じているからにほかならないからだと思います。

人によって、この本の活用方法は本当に様々だと思います。心に響く部分もそれぞれだと思います。ですが、アーティストたちはもちろんのこと、マネージメント関係の方、また、音楽界を応援してくださるクラシックファンの皆さまにとっても、何かしらのインスピレーションになるのではないかと思っています。

この日本語版の出版実現にいたっての経緯は、訳者の後藤菜穂子さんのあとがきに詳しく書かれていますが、私の突拍子もないアイデアに誠実に耳を傾けてくださりご尽力くださったアルテスパブリッシングの木村元さん、丁寧に隅々まで気を配って訳してくださった後藤菜穂子さん、日本語版監修をしてくださった石田麻子さん、関わってくださった全ての方に、心から感謝申し上げます。

こういう時代だからこそ、音楽が本来の息吹を取り戻し、ますます生き生きと、人々の心に明かりを灯し、輝くと信じています。この本がほんの少しでも力になったら、それ以上に嬉しいことはありません。私自身も、何度も読み直しながら、ブラッシュアップしていこうと思っています。

是非お手にとってご覧ください!

ワレリー・ゲルギエフ(指揮者)
偉大な音楽家であることはひとつのことにすぎない。
偉大なキャリアを歩むには、まず第一に、ビジネスがどのように機能するかを理解することが必要だ。
ベルンハルト・ケレスとベッティーナ・メーネが、クラシック音楽の世界での数十年の経験を若い音楽家が活用できるようシェアしてくれたことに感謝している。
彼らの本には、音楽家がキャリアのビジネス面を理解するために必要な知識が豊富に含まれている。本書を音楽家の友人たちに推薦したい。

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