【映画】活元運動のようなダンス~『ダンシングホームレス』(三浦渉監督)~
この映画は、私が勝手に応援している雑誌『ビッグイシュー日本版』の販売者さんの有志からなるダンスチーム・新人Hソケリッサ!の練習風景や公演の様子、メンバーのインタビューなどからなるドキュメンタリーです。
ドキュメンタリーなんですが、唯一作為というか、あざとさを感じてしまったのは、最初と最後を始め、要所要所で入るダンスシーンが雨の中で撮られていること。撮影日が偶然雨だった可能性もありますが、雨の中のダンスと降っていない時のダンスでは、また違うものになったはずなので、あえて雨の中にしたのかなという点が、ちょっと気になりました。
でも、そんなことは良いんです。彼らのダンスはちょっと活元運動のようですが、もしかしたらその印象は間違っていないのかもしれない。基本の振り付けはあるものの、彼らの身体から自然ににじみ出てくるアドリブの部分も少なからずあるようなので。
途中、西篤近さんを筆頭に、プロのダンサーとしてやっていけそうなメンバーもいるのに、と思ったのですが、観終わって、その感想が恥ずかしくなりました。結局それは映画内でも紹介された、「踊れるなら働け」「働いて税金を納めろ」という炎上コメントに通じるものだと気づいたので。奇しくも西さんが、「路上こそ、自分が自分らしくあれる場所」と言っていたように、「普通の社会」で「普通に」働けるなら、彼らは路上に出る羽目になっていなかったわけです。
しかし路上に出ると、2年で歯がやられるのですか……。
<追記>
ソケリッサ!のリーダーのアオキ裕キさんがグループ名を説明する言葉が、『通販生活 2023年冬号』に出ていました。
「ビッグイシュー日本版」各号の心に残った記事をまとめたマガジン「勝手に応援! 『ビッグイシュー日本版』」は、以下をご覧ください。
見出し画像は、アスファルトの路面と塀の境目に咲いていた、ど根性百合。新人Hソケリッサ!のメンバーの逞しさ、彼らの踊りの美しさに敬意を表し、選びました。