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【読書】”弱いロボット”は強い~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.464 2023.10.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第67弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号の特集は、「わたしたち、弱いロボット」です。


紹介されたロボットの中で一番気に入ったのは、ゴミ箱ロボットです。もこもこ言われたら、ついゴミを入れてしまいますね。まぁこっちに余裕がない時だと、「うるさい!」となりそうですが。以下から、動画を観ることができます。


一連の「弱いロボット」を学生たちとつくった岡田美智男さんの話が面白かったです。

岡田さんは、「自分で物が取れないなら誰かに取ってもらえばいいし、動けないなら誰かに運んでもらえばいい。表情が少ないなら、誰かに積極的に解釈してもらえばいい」と発想を転換。「家の中で一番弱い赤ちゃんが、周りの手助けを上手に引き出して目的を果たし、一番強かったりする。これを”関係論的な行為方略”と言います」

p.10~11

これ、「弱いロボット」や赤ちゃんだけではなく、高齢者や体が不自由な人とのコミュニケーションにも当てはまる気がします。


世に出るロボットの条件は四つあるという。「コンセプト、デザイン、プログラムなどの実装力、人に説明するプレゼン力。この四つにプラスして”運”も必要です。オールマイティーな学生が一人でつくるより、絵心のある学生、機構設計が得意な学生、パワーポイントの資料を上手につくれる学生などが結集して、一気呵成につくったほうが成功しやすい。僕らはこれを”熱意の連鎖”と呼んでいて、途中にやる気のない学生が一人でも入ると、台無しになってしまいます」

p.11

熱意の連鎖もすごいですが、「やる気のない学生」のパワーも、別の意味ですごいです。


岡田さん自身は「役に立つロボット」を開発するつもりはまったくなかったが、結果として「弱いロボットたち」は当初は予想もしていなかった効果を生み出すことになった。
「『ゴミ箱ロボット』や、昔話をど忘れする『トーキング・ボーンズ』を子どもたちがいる場所に連れて行くと、子どもたちは意気揚々としてロボットの手伝いを始める。自分の能力が活かされ、生き生きとして幸せな”ウェルビーイングな状態”が生み出されるからでしょう」

p.12


「大学は普通、最適な理論をもとにした設計を行い、効率よく社会課題を解決する”エンジニアリング”という考え方を教えます。だけどコミュニケーションには決まった理論がなく、僕らは雑談の中から出てくるありあわせのアイディアと、ありあわせの材料を寄せ集めて、その場をしのいでいくような研究の進め方をしています。すると、意外におもしろいものができたりするんです」
岡田さんがこんな手法を取るのは、「経済合理性だけで世の中を動かしてきた結果、さまざまな弊害が生じてきている」と感じるからでもある。
「(中略)最適化された社会では、そこからちょっとはずれた途端に冷たい仕打ちを受けます。”弱いロボット”の生き方が、もっと、お互いにゆるく依存し合ってもいいんじゃないかと気づかせてくれるヒントになればうれしいです」

p.12


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。ただし今号については、10月15日に次の号が出るまでは、路上の販売者さんからしか購入することはできません。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった平川さん、いつもありがとうございます!



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margrete@高校世界史教員
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