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【映画】たけのこがすごく美味しそう~『土を喰らう十二カ月』(中江裕司監督)~

映画館での公開時に観たかったものの、観そびれてしまった作品です。でもそうこうするうちにケーブルテレビで放映するわけで、映画館に行く人が減ってしまうわけだなと思います。

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原作者である水上勉がモデルのツトムが、信州の山の中で畑を耕し、精進料理を作って食べつつ過ごす、1年間の話です。信州の自然を背景に、素朴だからこそ贅沢なものを食べる生活、良いですね~。もちろん実際に暮らせば、様々な苦労があるのでしょうけど。

お料理も、とても美味しそうです。特にたけのこ。ただ、たけのこや胡麻豆腐はともかく、意外と精進料理は油を使うなぁと思いました。まあそうでないと、さすがにエネルギー不足になりそうですが。


ロケに使った家は、約50年放っておかれた白馬村の民家に手を入れたものだそうです。かなり手間もお金もかかったであろうとはいえ、手を入れれば使えるわけです。ちゃんとした大工さんの建てた日本の家って、すごいです。土井善晴監修の台所も、使いやすそう。


シミもシワもそのままに演じる沢田研二の演技も、良いです。料理を作る手つきにも迷いがないし、冬場の外の水仕事のシーンでも、あまり寒そうではなく演じるのがすごい。


ツトムの編集者兼恋人の真知子を演じる松たか子の食べっぷりも、とても良いです。ツトムに「これもどうぞ」と差し出されると、変な遠慮をせず、「ありがとう~」と言って食べる真知子を見るツトムの笑顔も素敵。


ツトムの亡くなった妻の母役の奈良岡朋子も、偏屈なばあさんを上手に演じています。その息子の嫁役の西田尚美も、身勝手すぎる役がうますぎ。その嫁に頭が上がらない、気弱な息子役の尾美としのりも。


他にも、大工役の火野正平や、ツトムがお世話になった住職の娘役の檀ふみなど、ちょこっと出ているだけなのに、良い味を出しています。


奈良岡朋子演じる義理のお母さんのお通夜も、結果的にとても心がこもったものでした。ああいうお見送り、良いですね。急のことだったはずなのに、通夜振る舞いの食器がなぜちゃんとあるかは、いささか謎とはいえ。


何しろ、とても良い映画でした。


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