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【読書】見仏に行きたくなる~『見仏記ガイドブック』(いとうせいこう、みうらじゅん)~

『見仏記』シリーズでは、いとうせいこうの文章と、みうらじゅんのマンガ(巻を追うごとに、仏画の要素が強くなってきていますが)で、各寺の仏像が描写されます。それでまったく不満はないのですが、実際の仏像の写真も見たいなーとも思ってしまいます。


そんな欲求に応えてくれるのが、この『見仏記ガイドブック』です。kindle版がないのが残念。情報をアップデートして、電子化してくれれば良いのに。



『見仏記』シリーズに出てくるお寺や仏像の写真だけではなく、そのお寺を訪れた時のいとうせいこうの文章も再録されているので、シリーズをふり返りながら楽しめました。何より、見仏に行きたいなーと強く思いました。


以下、私自身の備忘録として、行きたくなったお寺を挙げておきます。


〇奈良

・壺坂寺

眼鏡使用者なので、「目の観音様」はぜひ詣でなければ。のべ7万人のインドの石工によって作られ、66のパーツに分けて運ばれてきた巨大観音、そしてメガネ版茅の輪くぐりも見たい!

・安倍文殊院

渡海文殊、ぜひ見たいです(プリティ善財童子もね)。


〇京都

・浄瑠璃寺

みうらじゅん一押しの吉祥天女像、特別公開でしか見られないそうですが、機会があれば見たい。


〇名古屋

・龍泉寺

円空仏があります。天照皇太神と熱田大明神の像まであるとは!

・荒子観音寺

ここも円空仏。その数なんと、1,200体以上!


〇目黒

・五百羅漢寺

ここならすぐにでも、行こうと思えば行けます。

・安養院

五百羅漢寺同様、東急不動前駅が最寄り駅なので。北インド・チベットに特化した仏像を収集した美術館もあるとか。本尊は釈迦涅槃像。

<追記>
五百羅漢寺と安養院には、行くことができました!


なお東北の黒石寺の挿絵でみうらじゅんがさらっと書いている、「東北に国宝仏がいないのは何故だろう?」という言葉には、ぞくっとしました。みうらじゅん自身は、「国宝や重文なんて価値判断で見てはいかん!」という結論を出していますが、ひょっとしたら中央による東北の文化への軽視かも、と思ってしまいます。


〇伊勢原

・宝城坊(日向薬師)

ここ、子どもの頃に行っているはずなんですが、あくまでもハイキングの目的地として行ったので、ちゃんと仏像を見たいです。


〇加古川

・鶴林寺

獅子乗り文殊も象乗り普賢もあるとは! もちろん、「あいたたの観音さま」にも会いたいです。ちなみにこのお寺を訪れた時、このお寺以外に一例しかない「上向きに寝るお釈迦さま」のありかを高野山金剛峰寺と即答したみうらじゅんに対し、いとうせいこうの以下の感想が出ました。

私はまた夢を見ているような気になった。僧侶に合掌され、研究家並みの知識を持ったみうらさんが、とても偉い人のように思えてきたのだった。ゴールデンガイドの使者・みうらじゅんは、すでに仏像鑑賞界の大物であった。

・浄土寺

阿弥陀如来の来迎を疑似体験するため、ぜひ晴れた日の夕方に訪れたいです。


〇大宰府

・観世音寺

日本三大毘沙門天にも数えられている、地天女に支えられている兜跋毘沙門天像が見たい!


あと、巻末の「20年目の見仏対談」も良かったです。最初は寝っ転がって見仏することすらあった2人が、なぜ合掌するようになったかが、みうらじゅんの言葉で明かされています。

ある時から急に、仏像との挨拶だっていうことが分かったからね。人の家に入って、挨拶もしないで土足で入ったら悪いもんね。

何よりも、いとうせいこうの言葉を借りれば、仏像は「自分より偉大で、自分よりずーっと長くいる人」だから。

ま、一方で「ちゃんと礼儀を尽くすと御住職が近くで見せてくれる」(みうらじゅん)という下心もあるようですが(笑)。何せ「邪鬼目線」(みうらじゅん)なので。


ところで、2人が数珠などおそろいの物を買っていることは知っていましたが、木魚まで買ってましたっけ? 奈良の吉田寺で買い、携帯用のバッグまで付いているそうです。そんなインパクトのある物なのに、記憶にないなぁ。


ちなみに見出し画像を蓮にしたのは、この本の表紙が蓮の絵だったからです。




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