「完結編」が一番良かった~『RDG6 レッドデータガール 星降る夜に願うこと』~
文句を言いつつ読んできた「レッドデータガール」シリーズですが、「完結編」が一番良かったです。まぁこの後、短編集の『RDG レッドデータガール 氷の靴 ガラスの靴』がありますが。
↑kindle版
とはいえ実は、最後まで読んで初めて「良かった」と思えたのであり、読んでいる最中は、結構イライラしました。俗世間から切り離されて育ち、浮世離れしたヒロインの泉水子は、「普通の女の子」になりたいわけですが、その「普通」があまりに俗っぽく、かつその俗っぽさの程度が、巻を追うごとに増していくのにはうんざりでした。
能力がある登場人物が、あえて「普通」を目指す話というと、茅田砂胡の「暁の天使たち」シリーズが思い浮かびますが、泉水子は「暁の天使たち」シリーズのリィやシェラのような賢さもなく、ただただ隠れていたいだけなのです。
また、ジュブナイル小説では主人公が試行錯誤を繰り返しつつ、成長していくのがお約束ですが、泉水子の成長はあまりに微々たるものな上、恋愛方面寄りの妙な方に向かっているようにしか思えない点にも、辟易としました。
そして1巻以来割と鳴りを潜めていたはずの、泉水子の感覚過敏的な描写にも疲れました。泉水子の能力は、生来の感覚過敏が思春期で更に程度を増しているだけではないかと思わされてしまうのです。
とはいえ最後の最後になって、泉水子も成長を見せ、そしてこれからもまだまだ成長していくだろうという希望が出てきました。そうなって初めて、最終的には悪くない話だったかなと思えたのです。でもその感想を持つために、全6巻の最終巻の、それもラスト30ページを切るまで付き合うのは、かなり辛抱を要しますが(^-^;
見出し画像は、横浜の港近くの風景。今巻で泉水子が横浜を訪れることになるので。この風景を、泉水子たちも見たかもしれません。
↑文庫版
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