*この記事は全12巻を読んだ上で再読した時の感想です。よってネタバレに相当することも書かれていることを、ご承知おきください。
『プリニウス』の再読、3巻目です。
↑kindle版
プリニウスが「セネカにもう一度聞かせてやりたい言葉ばかりだ」というエピクロスの言葉ですが、私自身が心にとめておきたい言葉です。
プリニウスが甥の小プリニウスを泣かせてしまうシーンですが、おかしかったです。
本当にね。
プリニウスとエウクレスの対話ですが、1巻・2巻に引き続き、ここでも神より自然を畏れるプリニウスの姿勢が感じられます。
小プリニウスの家庭教師となるアンナの言葉ですが、金言です。それにしてもこの作品では家庭教師や水道技師など、働く女性が活躍しますね。
12巻で描かれるプリニウスの最期を思うと、この時のプリニウスのセリフが心にしみます。
知識に疑問を抱くエウクレスへのアンナの言葉ですが、教員である私にとって、心に留めておきたい言葉です。教えることは、意味のある事だと。
プリニウスを追いかける決意ができないエウクレスへの、シレノスの言葉です。それでも決意ができないエウクレスの背中を、「あ、(プリニウスに)ぜんそくの薬を渡し損ねちまったなぁ…」という独り言で押すシレノスには、大人のかっこ良さを感じます。
エウクレスが追い付いた後のプリニウス一行は、巨大なタコがあがる、水道が止まる、突然温泉が湧く、赤い大きな月などの異常事態を経験し、プリニウスは「何か尋常じゃないことが地下で起きている」(p.151)と判断します。ウェスウィウスが火山であることにも、プリニウスはうすうす気づいています。水道が止まること、そして有毒ガスによる羊の大量死のエピソードは、12巻でのウェスウィウス噴火直前の場面でも繰り返されますね。水道技師のミラベラが、どちらの巻でも居合わせることも……。
いや、本当に完結までたどり着いたことに、何度でも「お疲れ様」と言いたいです。
2巻の「とりマリ対談(4)」でもマリさんは、「周りから『性格破綻』とさえ思われる歪みや、繊細さ、孤独に対する強靭な免疫という点で、ジョブズとネロが重なり合うんですよ」と言っています。こうなると『スティーブ・ジョブズ』も読みたくなってしまいますが、でもその時間があれば、別の本を読みたいしなぁ。
この「猫目線」の部分、2巻の「とりマリ対談(4)」の表現を借りれば、なるべく画を「読む」ようにはしましたが、見落としだらけだと思います。
見出し画像は、四半世紀前のポンペイ遺跡です。背後にうっすらと、ウェスウィウス山が写っています。
↑コミック(紙)版