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【読書】チャペックの絵は、脱力系~『ダーシェンカ』(カレル・チャペック)~

*この記事は、2019年9月のブログの記事を再構成したものです。


ワンちゃん好きには、ぜひお勧めの本です。

↑愛蔵版では後半にあたる部分が、この記事でご紹介した分です。


ダーシェンカは、カレル・チャペックの愛犬が生んだフォックステリアの小犬の名前です。この巻の半分以上を占めるのは、写真を撮るためにダーシェンカをおとなしくさせようとしてチャペックが語ったという設定の、おとぎ話です。おとぎ話とはいえ、読んでいるうちに何となくフォックステリアに親しみがわいてきます。


ただショックだったのは、おとぎ話の中でテリアの尾を短くする理由が語られていること。チャペックが語る理由自体は、あくまでもおとぎ話ですが、テリアをはじめいくつかの犬種への断尾は、実際に今も行われているそうです。かつては狩猟に使う都合上の理由があったようですが、今ははっきり言って見た目だけの問題だとか。麻酔なしで行うため、残酷だということでイギリスをはじめヨーロッパの国々では禁止されているとのことですが、アメリカおよびそれに追随する日本では、まだ行われています。こんなところでもアメリカ追随なのかと、がっくりしました。


他にチャペックによるダーシェンカの絵や写真、「小犬の写真を撮影するには」と題したエッセイがあります。チャペックの絵は、可愛いしテリアの特徴をよくとらえているものの、強烈に脱力系です。お兄さんのヨゼフの絵も脱力系ですが、それを超えています。


なお、巻末にある監訳者の伴田良輔のエッセイで初めて知ったのですが、プラハの郊外には「チャペック兄弟通り」があり、そこにはチャペックが住んだ家とその庭が残っているそうです。チャペックが心血を注いで作った庭、いつか見てみたいなぁ。


見出し画像には、ワイヤーフォックステリアの写真を使わせていただきました。




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margrete@高校世界史教員
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