【読書】声を上げる人を応援したい~勝手に応援!『ビッグイシュー日本版』(VOL.486 2024.9.1)~
『ビッグイシュー日本版』を勝手に応援する記事、第89弾です。そもそも「『ビッグイシュー日本版』とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。
今号の特集は、「冬、春、夏をこえた奥能登から」です。
元旦の地震から8ヶ月が経ったのに、大きく復旧が遅れていた奥能登が、更に今回の大雨で大変なことになっています。当然のことながら記事に書かれていることは大雨の前のことです。
珠洲市大谷地区
「完全に孤立してはいないものの、往来も物流もきわめて限定的で「半孤立集落とも言える状況」(p.8)。「住民は車を運転したり乗り合わせて、あの峠道(注:路肩が崩れている)を40分くらいかけて珠洲市の中心部まで買い物にいっている」(p.8)。断水や上下水道の故障で水が使えない家もいまだ多い。
輪島市
これ、とても良いですね。
珠洲原発が計画されていた地が1~2メートル隆起したというのは、本当に恐ろしいです。「珠洲どころか北陸一帯が高濃度の汚染地区となり、風向きによってはさらに広範な放射能が拡散し、福島原発以上の被害が出たかもしれない」(p.12)という「志賀原発を廃炉に!訴訟」の原告団長の北野進さんの言葉に、ぞっとしました。
170人以上の命を奪い、200万人が被災する事態となった、ブラジル南部のリオグランデドスル州を襲った大雨と洪水の被災地の支援のために、パリ五輪への夢を諦めたブラジルのアスリートたちのことは、もっと報道されるべきだったのではないでしょうか。男子ローイング(ボート競技)の軽量級ダブルスカル予選に出場するはずだったエバウド・ベッケルとピエドロ・トゥテンハーゲン、水泳選手のビビアン・ユングブルート。
日本だとこのような場合、「被災地を元気づけるために」と出場し、良い成績を出そうとがんばりがちです。それを一概に否定するわけではありませんが、出場辞退の決断をした彼らのことは、パリ五輪の記録に刻むべきです。
日本で初めての公共訴訟の支援に特化したウェブプラットフォームであるCALL4の記事も興味深かったです。
裁判を傍聴することも応援、というCALL4共同代表丸山央里絵さんの言葉は印象的でした。
「日本では意思をもって声を上げる人に冷たい風潮があり、原告は時には心無いバッシングに傷つくこともある」という丸山さんの指摘は、「ビッグイシュー日本版」の484号での指摘に繋がりますよね。
「これまでの歴史を振り返っても、制度によって偏見や差別が再生産されてきた側面は大いにあり、誰かが声をあげ、権利を勝ち取ってきたおかげで今がある」(p.21)との丸山さんの指摘を改めて噛みしめ、声を上げる人を応援したいものです。
「マイ・オピニオン」のみっつさんの以下の文章には、考えさせられました。
みっつさんはそこから一歩踏み出し、「販売しているおじさんを見かけたら購入するようにな」ったわけで、それはとても素晴らしいです。でも以前のみっつさんのように考える人も多いでしょう。「みんな」って、何でしょうね。
編集後記のY・Mさんの言葉には、心底同感。
この報道(注:2024年8月の南海トラフ臨時情報(巨大地震注意))を聞いて、伊方原発(愛媛県)や浜岡原発(静岡県)などの運転を止めようと、政府レベルではいっさい言及されなかったことが信じられない。
今号も、編集後記に至るまで読み応えたっぷりでした。
「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。
コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。
もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。
見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださった杉浦さん、いつもありがとうございます!