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ものづくり大国、日本の再興に挑む:2025年に製造業が直面する課題を6主要議題から深堀り!

Manufacturing Japan summit 2025のメインテーマ『ものづくり大国、日本の再興に挑む』そして6つの主要議題。メインテーマ選定の背景や各議題への思いや期待を、エバンジェリストの田岡氏とサミットプロデューサーの嶋田が、一足早く対談で掘り下げました。2025年が飛躍の年となるよう、製造業のリーダーたちに議論の種と未来に向けた熱いメッセージを送ります。


1,2025年、製造業界が直面する課題とは?

現在、製造業界のリーダーとしてご活躍される中で、日々感じている課題など、日本の製造業が置かれている状況について教えてください。

田岡氏:2020年のコロナパンデミック(以降、コロナに省略)そしてその後の1年を経て、皆さん「世界はこれまでと同じ状態に戻っていく」と思っていたのではないでしょうか。しかし、実際はもとの状態には戻り切れていない。それが今、製造業で大きな問題になっていると思います。

まず、私が考える日本の製造業のポジティブな面、ネガティブな面についてお話したいと思います。

ポジティブな面は、コロナなど大きく世界情勢が変わる中でも、日本人の持つ真面目さ、精密な作業でのスキルの高さは、世界で活躍していくための強みであることです。
そして、なにより誇りに思うのは日本人の「苦境に負けない!粘り強さ」です。困難な中でも、絶対に諦めない。現状を変えようと努力する人・希望を与ようとする人が、必ずいることです。たとえ不運な出来事があっても「また元に戻していこう!前よりももっと良いものにしていこう!!」という姿勢は、日本人らしい素晴らしい長所であると思います。

一方でネガティブな面も、もちろんあります。
まず、一つ目は後継者不足ですね。中小企業が90%を占める日本の製造業において、収益が上がっていない企業が多いです。収益が上がっていない企業を、あえて子供の世代に継ぐことに抵抗を感じている経営者が増えていると感じます。

二つ目に、日本の製造業界における国家戦略がクリアではないことです。
かつては家電と自動車が二大産業でした。今、家電はほぼ外国に製造が移ってしまっています。自動車もかつては国内に大きなシェアがあったものの、今は20%程度落ちてきてしまっている状況です。国全体で「次の年をどのように乗り越えるのか?」「何に優先順位をもっていくのか?」に明確さが無いように感じられます。

三つ目は『価格競争の悪循環』です。優れた技術を持つ日本の製品ですが、「適正な価格で買ってもらえない」というジレンマに陥ってしまっていると思います。その結果、特に経営者としては「出来るだけ失敗をさせたくない」という雰囲気を感じます。人財育成の視点で考えると、失敗から学ぶことは多いはずです。残念ながら、今は「失敗をさせてあげられないマネジメントにシフトしている」と思います。

今回のサミットの講演者の皆さんは、ポジティブな面、ネガティブな面について、リアルなお話が出来る方ばかりですね。本当に素晴らしいメンバーが揃っていると思います!

2,Manufacturing Japan summit 2025のメインテーマ『ものづくり大国、日本の再興に挑む』と6つの主要議題への思い

嶋田:「日本を代表する産業は?」と聞かれたら、「製造業」と誰もが連想する主要産業の1つだと思いますが、様々な要因によって、厳しい状況に直面している業界であるのも事実です。業界として「もっと盛り上げたい!」という願いを込めて今年のサミットテーマを決めました。

本サミットは、メインテーマと6つの主要議題を設定し、こちらに沿って講演やディスカッションが行われます。6つの議題が等しく重要であり、製造業に携わる皆さんが注目し、日々考え、悩まれている課題に焦点をあてています。
そして講演者の選出については、田岡さんに相談しながら、各議題について先進的なお取り組みをされている方、熱い思いや考えを持っていらっしゃる方にお声がけしました。

また、これまでのサミットでは、プロセス部門、ディスクリート部門の2ストリームで分かれての講演を多く設けていました。しかし、今回は基調講演という形で、両方のストリームが集まる講演を増やしました。
もちろんプロセス製造、ディスクリート製造で、細かいハウツーは異なると思います。一方で根本的な課題感、製造への思いには、共通するものがあると思っています。みんな一緒に講演から学んでほしいという思いから、共通講演を増やしました。今までのサミットと、ひと味違うものになるのではと期待しています。

田岡氏:6つの議題は、日本再興のためにクリアしていかなければならない重要課題ですよね!

主要議題1:国際情勢から製造業を読み解く

~円安や地政学も交えた戦略を考え、グローバル市場での再興のチャンスを探る~

田岡氏:国際情勢というと、日本のものづくりは他国の影響を大きく受けます。アメリカ大統領選でのトランプ大統領再選であったり、日本の政治・政党の方向性であったり、昔の姿に戻ろうとしている波を感じます。一方でこれまでの状況に戻ることで、「スピード感や勢いが落ちていってしまうのでは」と懸念にも思っています。
他国の動向は、正直、誰も予測できないですよね。今後、各国の輸出入の規制ルールが変わったり、輸送費の高騰等、不安がぬぐえない状況にあると思います。
重要なポイントとしては、日本の企業は視野を広げて、海外のマーケットに果敢に飛び込んで行く姿勢が必要になってくるのではと思います。

嶋田:ここ10年のグローバルマーケット動向を振り返ってみると、これまで日本企業が強かった製品でも、近年では韓国や中国企業の存在感が大きくなっていると感じます。
一方で、日本製品のクオリティの高さは、引き続き高く評価されていると思います。「クオリティが良いから、適正な価格で買う」という未来になっていってほしいと切に願っています。日本人の誇り、先人たちが築き上げてくれたMade in Japanの力を、これからも引き継いでいって欲しいですね。

主要議題2:共創で切り拓く可能性

~業界の垣根を越え、物・人・情報を共有することで、新たな展望とイノベーションを促進する~

田岡氏:コロナ明けの世界は、これまでのルールが通用しないものになっていくと思います。だからこそ、共創が重要ですよね!
いままでの製品と、異なる価値のあるものをつくっていかなければならない。そのためには大企業、中小企業、スタートアップが一丸となって、協力していく必要があると思います。
私の馴染み深い自動車産業を考えてみると、高い技術力を持つ日本企業がもっとリーダーシップをとるべきだと思います。これまでにない、これまでの自動車メーカーでは作れないものに、どんどん挑んでいく姿勢が必要だと思います。そこには、中小企業の力が欠かせません。しかし現状は、同じ業界でも「あの小さい企業が、一体どんな技術を持っているのかわからない」という状態です。だから、世界と比べたときにスピードが落ちてしまうのです。

嶋田:「共創」は今の日本に最も必要な考え方だと強く思っており、毎度サミットのトピックに組み込んでいます。業界・業種が違えど、手を取り合い、データや知識、時に人材をも共有することで、1社では成し遂げることのできなかった製品や価値を生み出すことができます。まさにALL Japanの精神だと思っています。
今回も共創をテーマにパネルディスカッションや、講演を設けています。実際に手を取り合って新しい価値を生み出した事例やノウハウは、皆さんの背中を押すだろうと期待しています。

主要議題3:持続可能なものづくりの未来

~規制の遵守やエコフレンドリーな製造戦略を通じて、企業価値の向上を追求する~

嶋田:「持続可能性」は近年で関心の高いトピックです。これまでの「環境に良い方がベター」という雰囲気から、今は製造業界にとっては「対策をすることがマスト」になりつつある課題ですよね。消費者の購買選択の1つのポイントに「これは環境に良いものなのか?」という要素もこれから比重が増えてくるのではと思います。今回も両ストリームで講演を組み入れたので、様々な考え方・取り組み方を学ぶことができると思います。

田岡氏:地球にやさしい商品はもちろん大事ですが、企業が生存していく事も「持続可能」と言えますよね。日本においては、中小企業の生き残りがとても重要です。何年先も製造大国の日本であるためには、それを支える人財が不可欠です。持続可能なものづくりを担う人材育成が重要だと思います。
製造業界の人材育成に力を入れている、岐阜大学の王副学長の講演は、日本の製造業界を次に繋げる取り組みとして、とても期待しています。

嶋田:企業と製品、どちらにおいても「持続可能性」は重要な課題ですね。

主要議題4:デジタルによる新時代の訪れ

~AI とデジタルの融合が新しい製造時代を切り拓き、競争力の飛躍的な革新を目指す~

嶋田:デジタルは製造業と最も親和しなければならないと思っています。今回も、デジタルにフォーカスした講演やパネルを潤沢に作りました。
従来の製造事業に留まらず、デジタルやAIの領域で新事業に挑むお話は、ご参加いただく皆さんに勇気とモチベーションを与えるものになるのでは、と期待しています。

田岡氏:私がモデレーターとして参加する『日本製造業の再生 - 世界舞台での輝きを取り戻す「起爆剤」となるアイデアを探る』でのニッシン・パーテクチュアルの中村さんや佐藤さん、傍島さんは、AIや最新技術を使ってかなり先進的な取り組みをしています。これまで人間がやっていた仕事を、テクノロジーが対応する。そうすることで、人間でなくては出来ない仕事に注力出来るようになります。これまでは、職人の経験や勘に頼っていたところを、データとテクノロジーで代用していくという、かなり大きな変化が起こると思います。

主要議題5:サプライチェーンの再構築

~リスク管理と地域間連携の強化で一国依存から脱却し、安定したサプライチェーンを設計する~

田岡氏:ここでは、「既存のやり方にとらわれず、新しい視点を探し続けること」が重要だと思っています。視野を広げて、日本の外、これまでとは違うマーケットに踏み出す勇気が大事ですね。

嶋田:この議題は国際情勢にもかなり紐づいています。製造業の皆さんとお話しをしている中で、サプライチェーンを見直していくべき、一国依存からの脱却について、課題や関心が多く寄せられていました。完全な正解がない課題だと思うので、講演や参加者とのネットワーキングでぜひ熱い議論を交わしてほしいと思います。

主要議題6:世界に愛されるブランド作り

~ブランド認知度の向上とロイヤルティの強化を通じて、グローバル市場において安定的な収益基盤を確立する~

田岡氏:世界に愛されるブランドを作るにはより機能が高く、性能の良い製品を作ることが不可欠です。そのためには、アイディアやブランド力のある大手企業と、高い技術力を持った中小企業とが上手く連携をとることが必須だと思います。そうすることで、量産までのプロセスをかなり早めることも出来るのではと思っています。

嶋田:私はいち最終消費者として、願いを込めてこの議題を選定しました。私は普段海外で暮らしてるのですが、日本に帰国する度、一つ一つの品質の良さや繊細・丁寧な製品をみて感激をします。Made in Japan製品はもっと世界で輝くべきです。マーケティングの要素を組み入れることで、世界中、誰からも愛される商品を生み出すことができると思っています。今回は、低予算でヒット商品を生み出した企業の事例や、ちょっと違った視点でのアイディア論など、様々な視点からお話しいただく講演を企画したので、ぜひ新しい情報や考え方を持ち帰っていただけたらと思います。
 
田岡氏:特にプロセス製造ストリームでは、この議題に注力している講演が多いですよね!私はディスクリート製造ストリームの議長として参加するので、すべての講演を聞くのは難しいのですが、どの登壇者も魅力的な方ばかりです。皆さんもぜひ部屋を行き来して、多くのアイディアや学びを持ち帰ってほしいなと思います。サミット当日が益々楽しみになりました!

嶋田:講演はもちろん、ご参加の皆様とはネットワーキングやラウンドテーブルディスカッションを通して、さらに議題を深めていけたらと思っています。当日皆さんにお会いできるのを楽しみにしております

■開催概要【名称】 Manufacturing Japan Summit 2025
【日程】 2025年2月4日(火)~5日(水)
【会場】 ホテル椿山荘東京
【主催】 マーカス・エバンズ・イベント・ジャパン・リミテッド

■詳細は下記よりご覧くださいhttps://bit.ly/3DmkMpW

■お問い合わせ・申し込み広報担当(齋野)MizukiSnote@marcusevansjp.com