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映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」

『この世界の片隅に』におよそ30分の新たな場面を追加し、より前作よりも登場人物や当時の背景を深く掘り下げた完全に新作と言っても過言ではない出来に、前作でも号泣したのに今回は劇中で2回ボロ泣きしてしまった!

日本の戦争映画やアニメと言えば関連付られるのが蛍の墓や、はだしのゲンの2つ。如何に当時は悲惨で惨いかとこれでもかと描写された作品に対してこの作品は、反戦映画とはひときわ違い舞台が戦時中に設定された以外は、対極的に家族や、戦時中の日常生活の大切さ、そして何より重要なのが絶望のどん底にある時への逆境の克服。言わば破壊と再生がテーマであった。

主人公「すず」のフィルターを通し見る世界では、時に過酷な状況に希望を無くすことがあったとしても、愛する者たちと共に笑うことが如何に世界をより良い場所に見せてくれること気付かされ、異常な環境で常にその中で凪の様に佇む彼女の普通さこそが改めて戦争への悲惨さや今の暮らしの尊さを感じ取らせてくれ

彼女の生きるのどかな暮らしが、この世界の片隅に確かに存在していたという「現実」が確かに自分の中に根付き、その場所に住む人達、自分自身がこの世界の中心で、物語の主人公であり、何があってもそれを守り、生きていくことの大切さを失ってはいけないはずなのに、今自分たちが生きているこの現代では、それらを忘れがちなのに気が付いた時は悲しかった。だからこそ当時の当たり前にある日常を描いているこの作品は人の感情に敏感に触れ心を震わせてくれたのだと。改めて当たり前にある事の尊さを人間は忘れがちであることを深く思い知らさた気がした。

過去と比べることで今現在自分たちが持っていることに感謝の念を持て生きるという面で、日本人いや人間本来の姿がこの主人公の「すず」なんじゃないかと思う。そして何より、過去こそが今現在の自分たちを形作ってきたのだから、、、

いまだにこの映画を見てから気持ちを克服、消化することが出来ないでいるが、すずさんのように自分も穏やかに日常を毎日に感謝し家族を隣人を思ひ笑顔を忘れないでいようと見習いたいと深く感じた作品であった。

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