maplin

たぶん短い小説をのせたり、『重力の虹』の読書記録を残しておいたり、する予定。

maplin

たぶん短い小説をのせたり、『重力の虹』の読書記録を残しておいたり、する予定。

最近の記事

ファリーニャ試訳 第二章

第二章 フラタニティ・ハウスでハッパを吸うタイプのやつ。鎮痛作用のあるポールモール(The Paregoric Pall Mall)。浣腸袋のサーガが始まる。パメラ・ワトソン-メイ─万歳そして彼女は立ち上がる。 (訳注:ポールモールは当時特に人気だったタバコのブランドで、1960年には全米シェア一位にまでなる。ただ、ここで言及されているのはポールモールの紙で巻いたマリファナである……なお、Paregoricはもともと18世紀に発明された樟脳やアニス油、安息香酸を混ぜた阿片チン

    • ファリーニャ試訳 第一章

      この本をミミに 「私はすぐにでも退場しなければならないでしょう…」    ベンジャミン・フランクリン  ジョージ・ワシントンへの手紙のなかで       1780年、3月5日 第一章 ノーソスが家を見つける。フィッツゴアとヘッフォランが幽霊を見る。栄養素を確保するための計画が浮かぶ。レジの女の人がメキシコの王に会う。(訳注:このように目次には章ごとに短いあらすじが記されている) またしてもアテネへ。  若きノーソス・パパドポウリス(Gnossos Papadopouli

      • 『重力の虹』3

         かつて「『重力の虹』はプラスチックについての小説でもある」と新訳刊行前に訳者がブログに書いていた。  実際、無数のプラスチックが登場するが、現在の日本の読者がいまいちよくわからないのはなんといってもプラスチックマンであろう。上巻p394のビーチの場面で「スロースロップの手にはプラスチックマンの漫画」がある。p395では、 「これがスロースロップ中尉か」  カラー刷りのプラスチックマンが鍵穴から抜けでて、角をまわり、ナチのマッド・サイエンティストの実験室の流し台に通じている

        • 『重力の虹』2

           ひとつの注釈について考えてみたい。舞台はスノックソール、p67の脚注ナンバー12である。そこに「言及されているのは、ワーナー・ブラザーズのトップスターの一人であるモーガンが、極東戦線で日本軍戦闘機を相手に活躍するGod Is My Co-Pilot(1945)」とある。  実は、当該の映画は『空軍極秘作戦』のタイトルで2012年にブロードウェイからDVDが発売されている。『重力の虹』の翻訳出版が2014年なので、これはリサーチ不足といえるだろう。  しかし訳者のリサーチ不足

          『重力の虹』1

           やっぱり『重力の虹』を原文で読んでみたいなあ、と思った話を書いてみる。  最近甘いものが好きなので、なんとなく甘いものがたくさん出てくるエピソードの原文をKindleで読んでみたのだった。  そのあと念のため新潮の全集版の翻訳を読んで、自分と解釈があまりにも違ってびっくりしたのだ。  とりあえず翻訳を引く。 「わたくしの悪寒がひどかった時期にいらした方ね」夫人はスロースロップを覚えていた。「ヨモギのお茶をいれましたよね」おお、来た来た、あの日のテイストが、いまスロースロッ

          『重力の虹』1

          rkgk 「う ぼ う ん」

          噴水に ちょう スピリット・オブ・バンクーバー 紫陽花にみりんをかけるひとよ ろくがつは 紫の 花が おおいね 「そうね わたしは ダスキー・メイデンが すきよ」

          rkgk 「う ぼ う ん」