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水野南北*福禄寿の思想①神儒仏
江戸時代、日本一と言われた水野南北という観相家がいます。人は一生を通じて決まった食の量があって、長寿を得たければ食を減らし徳を蓄えその徳によってさらにまた命を得るという考えで小食を勧めている人です。その水野南北の修身録をわかりやすく解説してくれている本があります。
若井朝彦著 江戸時代の小食主義: 水野南北『修身録』を読み解く
という本です。めっちゃ面白かったです。その中でも一番面白かったのは第5章の「福禄寿の思想」で、これから4回に分けてまとめたいと思います。
1.神・儒・仏
修身録には理論的な体系がないように見えるらしいです。しかし、食を仲立ちとして「神儒仏」「福禄寿」「天地人」といったものに水野南北独特の体系があるといいます。
南北はこう言っているそうです。
神道は「命」を司り「寿」を生み出す
仏教は「慈」を司り「福」を生み出す
儒学は「位」を司り「禄」を生み出す
生命は「天」に属して「寿」
世界万物は「地」に属して「福」
国家は「人」に属して「禄」
神道は三国(天竺、唐土、日本)ともことごとく備はれり
もう少しわかりやすい言葉で説明が続きます。
儒学、仏教の二道も本来は一つのものであり、神道とも通じている。それゆえわが朝廷にあってもこの二道を用いる。そしてこの神儒仏の三道は天竺、唐土、日本の三国において、太古から今に至るまでずっと用いられてきた。仏教の国だとしても慈悲だけでは国家は治められない。また儒学の国であっても礼のみで民が従うはずがない。したがって三国とも神儒仏の三道をもって天下を治める。
人間とはまず命を持った動物でありこれはどの民族も同じ。(神道・天・寿命)
そして人間は食物をはじめとする万物に恵まれることによって生かされている。(仏教・地・福)
また言葉や行動によって人間は交わりをもってひいては社会国家を作る存在。(儒学・人・禄)
南北はこのそれぞれを、神道の必然・仏教の自然・儒学の当然といったものによって説明している
のだそうです。
そもそも人は命があるのだから神道は無関係ではないでしょ。それに大地の恵み、自然によって人は生かされているのだから仏教も関係あり。何より人は人との交わりの中でしか生まれないのだから儒学必要ですよねって。この神儒仏の三道に対する南北の考え方、とても面白いと思いませんか?
明日は日本三社についてまとめます。