#26 プロセス編 デッサンと建築
こんにちは。
お久しぶりの投稿です。
今月からは週1ペースくらいの投稿になりそうです。
事業計画を含む補助金の申請資料作りなど事務作業に追われていたここ最近。
本格的にブランドがオープンするまでに、色々と課題はあるのですが、何と言ってもデザイン起こしとデザイン画練習は必須。
近年ではジュエリーを作るに際し、3DのCADでデザインを起こしてから、型を作り制作する方法も主流になってきているようですが、やはり手描きでのデザイン起こしは自由度も高く、何より絵を描くことが好きな私は時間も忘れて没頭してしまいます。
主婦業との両立になるので限られた時間ではありすが、事務作業、デザイン画、オンラインショップの作り込み、彫金練習、その他........
時間がいくらあっても足りないですね〜
と、余裕のない呟きはここまでにして(笑)
今日はデザイン画を描きながら感じたことを書いていきたいと思います。
私は高校2年の夏に芸大を志望し始め、画塾にも通って、デッサンを死ぬほど描いて練習した経験があります。
関東と関西でデッサンの仕方が少し違うのですが、私は関西の国立芸大を目指していたので、関西寄りのデッサンが得意です。
受験する学校によって細かい違いと対策がありますが、私が当時画塾の先生に教わった、その違いを簡単に説明すると、
関東のデッサンは遠くから見た時に量感(ボリューム)があり、迫力があるもの。
つまり、線も太く荒く(いい意味で)描きます。
関西のデッサンは近くで見た時に線が整っていて、線が面に見えるほど繊細、遠くで見た時に全体的に光を浴びたような仕上がりになるように描くということ。
私はどちらかというと、ダイナミックに鉛筆を動かしてしまうタイプなので、関西寄りのデッサンが描けるようになるのには本当に苦労しました。
でも、国立芸大は一年半の練習と私のポテンシャルでは厳しく、結果的には私立の芸大へ入学することとなるのですが、私立は入学当初から学科選択をしないといけないため、オープンキャンパスで一番ワクワクしたという理由で選んだ建築学科へ行くことになります。
一回生で、手描き図面の課題があり、製図板でひたすら線を引き続けたのが未だに記憶に新しいです。
小さい頃から絵を描くことが好きで、高校時代の美術部で油彩をした頃が一番楽しかった思い出でしょうか。
受験を通して死ぬほどデッサンの練習をしたおかげで、絵は上手くなったのですが、どこか高校時代の”楽しさ”というのが無くなってしまったように感じていました。
特に、大学で建築を勉強し、何となく進路を誤った気がしたほど、描きたい絵がかけてない、でもこれを仕事にするなら頑張って、次は図面が描けるようにならないといけない、でも楽しくない、そんな葛藤が社会人になってからもしばらくモヤモヤしていました。
絵を描いて好きなことをして食べていく、という選択肢が全く無かったわけではないのですが、せっかく建築を勉強したのだから仕事としてスキルと経験を積みたいと何となく言い訳して、まだ若かった私は、”不安定”より”安定”を選んでしまったのだと思います。
大学卒業後すぐは、アパレル業界へ興味が向き、百貨店ブランドの会社へ就職したのですが、2年が経ち、たまたま接客したお客さんのご主人が、偶然にも設計事務所をされており、建築業界へ転身したい旨をお話すると、ちょうど欠員がでていて募集中ということで、24歳で初めて建築の実務経験を積めることになります。
ですが、プライベートで見せるご主人の笑顔は裏腹に、昔ながらの価値観や考えを持った所長だったので、私にとっては想像を絶する厳しさと辛さで、身も心も疲労困憊し、半年で退職となってしまったのでした。
今でも、あの時もう少し頑張っていればまた違った景色が見えたのかなぁ、一級建築士とかになってバリバリ設計の仕事をしていたのかなぁ、と色々と考えることはあるのですが、辞めてしまったこと、また入社したことを後悔しているかと言われると全くで、むしろ今は、半年だったけど必要な経験だったと思うことができます。
あの時の経験があったから、その次の会社では少し、建築を楽しむということができたのだと思います。
結局、色々とご縁があり結果的には7年弱、建築の業界で経験を積ませてもらえる会社に出会えたのですが、その年月を経てようやく、心から”楽しい”と思うことが出来るようになってきました。
高校生までは”絵を描く”ということだけに楽しさを感じていましたが、建築を知ることによって描いたものを形にし、”創る”ということの楽しさを同時に知ることができました。
最近練習したリングのデザイン画。
正面図、上面図、側面図です。
これは写真から模写したものなので、ここから自分のデザインを描けるようになるのが難しいのですが、これを練習しながら、これまでの経験が一本の線となって繋がった気がしました。
建築で言う、平面図、立面図と描き方がほぼ同じ。
ここに建築パースならぬ、ジュエリーではレンダリングといった、斜め上から見た図までも提案図が同じです。
これが1分の1の3Dにするために、職人さんへ指示と依頼をするということも現場監督で培った経験が活かせると思うと、改めてこれまで自分が歩んできた道は間違ってなかったと思うことができます。
マルタクロスを派生させたデザイン。
ブランドのネックレスを試行錯誤中。
これからは、ジュエリー業界という、また違うフィールドではありますが、さらに飛躍できるように頑張っていけたらいいなと、ワクワクした気持ちでいっぱいです。