【無駄になるおもた】お母さんこんなんやねん!笑
※そらはまだ、頑張ってくれています。ふぅふぅと一生懸命に呼吸を続けています。
「まにょちゃん聞いて〜笑」
そう言って今朝、すでに笑いを含んでいる母が話しかけてきた。
昨日夕方に嘔吐したそら。今までは自作の流動食をあげていたけれど、もうそろそろ市販のちゃんとした流動食に変えた方が栄養も取れるかもねと話し、ネットで新しい流動食を購入したところだった。
母は、今そらに必要だと思ったグッズはすぐに「ポチって!!(ネットで買って)」と言う。お金のことなどほとんど気にしていない。
「ヤギミルク飲ませてみる?」
「うん、ポチって」
「シリンジ買おうかな」
「うん、ポチって」
「このリンゴゼリー美味しそう、食べるかな」
「うん、ポチって」
そして昨日、そらの流動食を探しているときに、
「これ美味しそうなんやけど、5000円もする」
「なんでそんな高いん」
「チュールみたいなやつに入った流動食が50本も入ってるねん。50本入りしかない。」
私と母は、同じことを考えたと思う。おそらく、この50本入りの流動食をそらはほとんど食べることなく空へ向かってしまう。つまり、ほとんどが無駄になってしまうだろうと。
「いいやん、買い」
「いいん?」
「うん、明日届くならもうそれでいい」
そうして5000円もする流動食を買った夜中にまたそらはゲーゲーと吐く様子を見せ(食べてないから吐くものもないんだけど)、そのあとは2cm大の血を吐いて、母に抱かれていた。
そして母はまたそらの命の危機を感じ、咄嗟に思ったことが、「5000円無駄になる」だったらしい。
「お母さんそら死にかけの時にそれがよぎるって、めちゃくちゃ不謹慎じゃない?!もうお母さんこんなんやねん!!!笑」
めちゃくちゃ母らしくて私まで笑ってしまった。
ちなみにだけど、母はそんな薄情な人間ではない。ちょっとユニークなだけ。
母はそらが体調を崩す前から、歩かないそらを抱いて毎日近くの神社にお参りに行っていた。毎回「そらがこれからも元気に過ごせますように」とお祈りしていた。
体調を崩した時は1人で毎日病院に連れて行っていたし、そらが好きだからと言って、この夏は桃を何玉も買って食べさせていた。「もうめっちゃくちゃ美味しそうに食べるねん!!あんたらよりそらの方がことしよう桃食べてるで〜笑」と嬉しそうに笑っていた。そして何度も桃を買いに行っていた。
そらがこうして体調を崩した今、母は寝室で寝ることをやめて毎日そらの隣で眠りについている。2時間おきに起きては体位変換をし、トイレに連れて行き、水を飲ませる。ピクピクと震えていたら、「大丈夫だよ、大丈夫。そばにいるよ。」と、眠い目を擦りながらそらを抱きしめている。
「子どもたちはみんな嫁いだり一人暮らししたりでみんな家出て行ったやん?やけどそらはずっとお母さんのそばにおってくれた。そらだけはずっとお母さんのそばにいてくれるんやって思ってたんやけど、今回こんなことになって。あぁ〜そらもお母さんのもとから離れていってしまうんやなって思った。まぁ当たり前なんやけど。」
そう言って、母は泣いていた。
とうとうそらが声かけにも反応しなくなった一昨日の夜は、
「そら、お母さん大丈夫だよ、心配しなくていいよ。」
「また会えるから大丈夫だよ、怖くないよ。」
「そら昨日みんなで話せたの楽しかったね!女子会最高だね!」
そんな言葉を震えた声でかけ続けながら、そらを抱きしめていた。
そらは今寝ている状態が一番楽なのは知ってはいるけど、母はしきりに私に「そら抱っこしていい?」と聞いてくる。「もちろん、むしろしてあげなよ。」そう言うと、嬉しそうにそらを抱き締める。
そらを胸に抱きながら、「ごめんやけど、来年産まれる孫よりそらの方が可愛いと思うわ。笑」。そう言いながら、また笑っている。「お母さんまたそらのご飯買ったよ〜そら経済回してるで。ブンブンぶん回してんで!笑」と、声をかけて撫でている。
一つ一つの声かけがあまりにも母らしくて、それを聞きながら抱かれるそらはとても気持ちよさそうで。そらはありったけの愛情に包まれてこの17年間を過ごしたことがよくわかる。こうして最高の相棒として17年半を歩んできたのだと思うと、そらをこの家に迎えてよかったと心から思う。どれだけそらの死が私たちを悲しませようと、その悲しみの渦がこの幸運・幸福に勝ることはない。
そら、お母さんの最高の相棒でいてくれてありがとう。
まにょ。