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光の大地、辻邦生
きのうのこと。辻邦生の『光の大地』を読了す。エンターテインメント性が割と強くて、少し面食らったけれど、新聞連載作品とのことで納得。とは言っても詩的な描写は期待を裏切らない。序盤と終盤の対比に見られる明暗の書き分けなんかは、心情、舞台を含めてほんとうに凄まじい。
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それでも特筆すべきは本作が見つめるもの。その思想、哲学といったほうがいいのだろうか。端的に言うならば描き方が大いに凝っている。作中でも少しづつ積み上げてきた"理想"を見事に解体し、混沌の中で"生きること"の何たるかを打ち出すのである。
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"生"を見つめる眼差しに、確固たる強度を感じた。また"信仰"についても投げやりになりそうな展開ながら、真摯に扱っていた点も忘れられない。
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もっとも、"愛"の形ひとつとっても、著者の極めて優れた時代感覚、否、先進性をまざまざと見せつけられた。現代においても一一おいてこそ鮮烈な印象を読者に焼き付けるのではなかろうか。
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見出しの画像は昨年鑑賞したあべのハルカス美術館は〈イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜〉より、ゴーギャンの《ウパウパ》である。物語の舞台は彼の過ごしたタヒチ、ウパウパはその地の舞踊で... それだけ... (曖昧)