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戯言

二日ほど前だけどね、田山花袋の『蒲団』を読んだのさ。ありゃ参っちゃったよ。ある意味もなにも、ホントに凄いや。トルナトーレの『マレーナ』はもの凄く好きなんだけどさ。なんなんだろうね。

理解出来ているようで、なんだか随分と浅い理解のように感じるんだ。年齢の問題なのかな。劣情については一、二も問わず心得ているつもりなんだけどね。そう胸を張れることじゃあないけれど。

それはそうと今日読み始めた『日本文化私観』って本がさ、ああ、坂口安吾のエッセイ集で。これがまた中々強烈なのよ。こんなのが読みたかったんだって思ったね。またこの本のことは喋ると思うからさ、そのときは聞いてちょうだいさ。

話は変わるけど。このことも二日前だったかな、職場の上司お二方に呑みに連れてってもらったんだ。なんせ酒飲みが少ない職場だからね。ふたまわりも離れた若造にも声が掛かるわけだよ。

その内のおひとりの方にね、三人目の子供が出来たって話のなったときにさ、もうおひとりの方が「三人目いけるのは男として尊敬出来る」なんてことを言ったんだ。共感を求める口調でさ。

言わんとしてることは分かるんだけどさ、いまいちピンと来なかったの。まあそんなこと直ぐに忘れたんだけど。それで昨日さ、お昼にひとりで天一に行ったときにさ、隣のスーツの若い男の人が「ニンニク入れますか」って問いに「お願いします」って答えてたんだよ。

すごいな、って。そこをいけることに僕は驚いたんだ。心から尊厳の念を抱いたんだよ。それでこういうことなのか、って。分かったの。いや三人目云々への理解は伴ってないけど。

まあそれも『蒲団』と一緒だよ、多分。年齢っていうか経験なんだろうね。ああ、想像力の問題だなんて冷めたことは言わないでおくれさ。それにしても今夜はやけに冷えるね。君も身体には気を付けなよ。無理してばっかじゃ駄目だよ。


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